米Qualcommは7月11日(現地時間)、モバイルデバイス向けのフラッグシップSoC「Snapdragon 821」を発表した。現行のSnapdragon 820の強化版と呼べるモデルで、2016年後半に搭載デバイスが登場する見通しだ。

Snapdragonの800系列は、64bitへの移行期と重なった2014年春発表のSnapdragon 810が熱問題などトラブルに見舞われたが、昨年末発表のSnapdragon 820でしっかりと64bitアーキテクチャに対応し、モバイルデバイスで効率的にパフォーマンスを引き出せる最適化を実現した。Snapdragon 820は、GPUにAdreno 530、DSPにHexagon 680を採用。ほかにも、下り最大600Mbpsの通信速度となるX12 LTEモデムの統合、IEEE802.11adのサポートなど、モバイルコンピューティングの進歩に沿った強化が行われた。その結果、ソニーモバイルコミュニケーションズのXperia X Performance、Samsung Galaxy S7/S7 Edge、Xiaomi Mi5、LG G5、HTC 10など数多くのハイエンド端末に採用されている。

そうしたSnapdragon 820の特長を伸ばしたのがSnapdragon 821である。KryoクアッドコアCPUのクロック動作が最大2.4GHzに引き上げられ(820は最大2.2GHz)、パフォーマンスが約10%向上している。今回は製品発表のみで、その他のスペックは不明。詳細は改めて公表するという。

Snapdragon 821はSnapdragon 820を置き換える製品にはならない。補完する関係にあり、Snapdragon 800ラインナップ全体の競争力を高める追加になるという。Qualcommは「スマートフォン、タブレット、モバイルVRヘッドマウントディスプレイや他の新しいデバイスの可能性を引き上げる」とアピールしており、GoogleのVRプラットフォーム「Daydream」をサポートするスマートフォンや、Nexusシリーズの次世代端末などでの採用が期待されている。