その大きな潮目とは、現在代表取締役を務める立山昭彦氏がハーレクインに入社してきたことだろう。実は立山氏も取材させていただいた鈴木氏も、パートワーク最大手のデアゴスティーニ・ジャパン出身。となれば自然と「ハーレクインでもパートワークをやりたいね」という話になるのは至極当然な流れだ。

だが、前述したとおり、パートワーク出版は入念なリサーチや専門的な知識に長けた編集能力、さらにクラフト・マガジンの場合、高度なモデル・パーツの設計生産能力といった高いリソースが必要になる。当時のハーレクインにはそのリソースがなかった。そこで、日本進出を考えている海外のパートワーク大手と組めないかと考えた。

イーグルモスとタッグを組んで販売したパートワーク

海外には何社かパートワーク出版社があるが、デアゴスティーニとアシェットは日本市場に進出済み。そこで、シンガポールに拠点を置くマーシャル・キャベンディッシュに連絡を取った。そしてその翌年、やはりパートワーク大手イーグルモスのチーフ・エグゼクティブからハーレクインに「話が聞きたい」というオファーがきた。実はマーシャル社はイーグルモス傘下に収まっており、回り回ってハーレクインに連絡がきたということだ。

こうしてイーグルモスが刊行したパートワークをハーレクインが販売する体制が整った。まず皮切りに「NISSAN R35 GT-R」というクラフト・マガジンを2012年1月に販売し、以降「世界の軍艦コレクション」や「日産フェアレディZ」、「MILITARY WATCH COLLECTION」といったシリーズを投入していく。余談となるが、「世界の軍艦コレクション」創刊後に「艦これ」ブームが到来した。これが追い風となり、販売は好調だったという。