「日本発のソフトウェアを世界へ」という理念の下、日本のソフトウェアベンダーで構成される業界団体「MIJS(Made In Japan Software & Service)コンソーシアム」は4月4日、日本版シリコンバレーを目指す「JAPAN Tech Valley プロジェクト」の始動を発表した。

MIJS理事メンバー

MIJSとは、日本のソフトウェアベンダーがビジネス相互連携を行って、海外展開および国内ビジネス基盤の強化を目的とした団体。グローバル規模のビジネス展開が求められる中、日本初のソフトウェアを世界へ発信するため、2006年に設立。立ち上げ当初は13社だった会員企業も、現在では80社以上に増え、新規上場の事例は5社、上場企業は17社を超えた。

今回、新理事長にWEIC代表取締役社長の内山雄揮氏が就任。常任理事には、ウイングアーク1st 代表取締役社長の内野弘幸氏、システムインテグレータ 代表取締役社長の梅田弘之氏、サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏、セゾン情報システムズ 常務 & テクノベーションセンター長の小野和俊氏、東洋ビジネスエンジニアリング 常務取締役 CMO/CTOの羽田雅一氏が就いた。

MIJS理事長 WEIC代表取締役社長の内山雄揮氏

内山氏によると、設立当初の目的は会員企業の「製品規格の共通化による、販路の拡大やユーザビリティの向上」「海外の企業・団体との提携」「人と企業の連携を行い、各従業員の能力向上や業界の活性化」の3項目であったという。しかし、現在の日本に求められていることは「第3の矢」の確立であり、その中でも、持続的な経済成長を実現するための成長イノベーションの創出だと話す。こうした背景の下、世界で勝てるプロダクトの育成にフォーカスしたビジネスプラットフォームとなることが基本理念と、同団体の設立目的を再定義した。

これらの考えから、設立10年を機に、新プロジェクト「JAPAN Tech Valley」の立ち上げを発表。簡略に言うと、新プロジェクトは「日本版シリコンバレー」を目指すという。具体的には、成功企業と成長企業が連携し、速いスピードでイノベーションを起こすエコシステムを作り、「自己完結型」であった日本の企業風土を「解放・連携型」に変化させる仕組みをつくる。

シリコンバレーなどのスタートアップにおけるエコシステム

ではなぜ、今までの日本では「シリコンバレー」がなかったのだろうが。その原因として、内山氏は「高リスクベンチャーに資金提供する金融システム」「質が高く多様性がある人材が流動的な労働市場」「革新的なアイディアを創出する産官学の連携体制」「成功企業と成長企業がともに成長する産業構造」「起業家精神を促進する社会規範」「企業の設立と成長を支える専門家集団」の6つが足りないと指摘。逆を言えば、この6要因を解決することで日本に合うエコシステムが作れるのではないかと話す。

日本にシリコンバレーができない6つの要因

このエコシステムの創出をバックアップする体制が、Japan Tech Valley活動委員会となる。「新技術」「投資評価」「人材育成」「経営・営業・マーケティング」「人脈構築・ビジネスネットワーク」の5つを軸に委員会単位で活動していく。

各委員会の活動方針は、「成長イノベーションの創出で産業構造の変化をもたらすこと」を基盤としている。個別スキル向上のためのコンテストを多数開催し、ランキング発表することで競争環境をつくり、スキル向上につながるアグレッシブな活動を目指す。また、積極的に活動に参加することで、ビジネスネットワークを強化し、成長企業を発掘・連携・育成し会員相互で成長できる体制を整えていくという(内山氏)。

Japan Tech Valley活動委員会

常務理事 サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏

また、常務理事である青野氏は、「リーマンショックなどの厳しい時代などでも、会員企業間で傾向と対策を話し合うミーティングを開催するなどして、助け合ってきた。この10年間を振り返って、さまざまな危機を乗り越えられたのはMIJSメンバーのおかげだと思っている。今後必要なのは、20代30代の若い経営者が直面している悩みを解決する仕組みを作ることだろう。ぜひ、われわれの知見を共有し、若い経営者の悩みを解決するプラットフォームにしていきたい」とコメントした。