携帯電話料金に風穴は空くのか

9月以降は安倍晋三首相の発言をきっかけに、携帯電話料金の見直しやMNP時の報奨金の廃止が話題に上がった。12月16日に総務省の提言として主な方針がまとまったばかりだが、ライトユーザーについては確かに安くなる余地があるものの、果たして全体として料金が安くなるかというと疑問が残る内容だ。

仮にキャリアによる2年縛りがなくなるとすると、現在は月々割などで還元されて安くなっている端末代が跳ね上がり、iPhoneを始めとするハイエンド端末が売れなくなるように思われる。だが、たとえばAppleが米国で行っている「iPhone Upgrade Program」や、AT&Tの「AT&T NEXT」といった、毎月定額を支払い続ける代わりに、機種代金がかからず、新しい機種が出れば無料で機種変更もできる(AT&T NEXTの場合は12~24カ月の期間は変更できない)、一種のリース契約のようなプランが登場するだけではないだろうか。

実際、すでに各社ともiPhone向けには端末の下取りを含めるかたちで半ばリースのようなプランを導入しており、今後は端末代とデータ通信費が分かれる形になっても、結局は安価に高級端末を購入できる仕組みが用意されるだろう。あとは提供するのがキャリアか、メーカーか、といった違いにすぎない。

来年注目の技術は?

デバイスや通信技術に関しては、NTTドコモが3.5GHz帯(バンド42)のTD-LTEを使い、3CC CAを使って下り370Mbpsのサービスを2016年3月前後をめどに開始する見込みだ。3.5GHz帯は大手3社にそれぞれ割り当てられるため、auとソフトバンクも順次同バンドを利用したTD-LTEサービスを開始する見込みだが、auが6月以降、ソフトバンクについては不明だ。

ドコモは3月をめどに370Mbpsのサービスを提供する

Wi-Fiについては、60GHz帯を使った短距離超高速通信の「Wi-Gig」が登場する。すでにSnapdragon 810は潜在的にWi-Gig対応の能力を備えており、2016年モデルの端末からいよいよハードウェア面での実装が始まる見込みだ。

スマートフォン向けSoCでは、Android陣営ではSnapdragon 820の搭載モデルが登場する。Snapdragon 810より性能が向上するとともに発熱等の問題も解決しているといい、かなりの性能向上が期待できそうだ。対するアップルはApple A10(仮称)を次期iPhoneに搭載してくるはずだが、こちらは今の所情報らしい情報は流れていない。しかしiPhone登場から10年の節目になるだけに、かなり思い切った製品を投入することが期待されている。

広義のモバイルという点では自動運転車の進化にも注目したい。現在は2020年をめどに実用化が進められているが、早いところでは2016年にも公道を実装する姿が見られると思われる。思ったよりも早くその実力を垣間見ることができるのではないだろうか。