もう少しSiri Remoteの話を続けよう。その名前にもある「Siri」だ。これもiOSデバイスを使っている人にはお馴染みな、音声アシスト機能だ。Apple TVには前述した通り、現時点でハードウェア、ソフトウェアともにキーボードの用意がない。iTunes Store/App Storeでの検索で、テキスト入力の方法が「検索」で1文字ずつ打ち込むしか方法がないとなれば、また表情も曇りだす。

「Siri」を使って、クリストファー・ノーランの作品を探してみた。一度挙がった候補の中から、さらにキーとなる事柄を話すと絞込みができる

そこで真打、「Siri」にご登場願おう。例えば、クリストファー・ノーランの映画が観たいと思ったのなら「クリストファー・ノーランの作品」と話しかければ、該当する作品をピックアップしてくれる。ここで、候補に上がった作品を見ると、製作に関わった『マン・オブ・スティール』までが、表示されている。いや、監督作品だけに絞りたい、ということなら、「クリストファー・ノーランの監督作品」と言うことで、『マン・オブ・スティール』が除外される。ここで、渡辺謙が出ている作品まで狭めたいと思ったら「渡辺謙が出ている作品」と言うと『インセプション』まで絞り込んでくれる。

「泣ける映画」のような漠然としたリクエストにも応えてくれる

しかし、ここでちょっと面白いことがわかった。おいおい、渡辺謙は『バットマン ビギンズ』にも出てるだろうと突っ込みたくなったのだが、どうやら、絞込み検索で使えるのは、iTunes Storeで出演などのクレジットがある場合に限られるようなのだ。実際、渡辺謙は『バットマン ビギンズ』ではiTunes Store上でノンクレジットになっているため候補外になっている。他にも「マット・デイモンが出ている作品」を抽出してもらうとしたのだが、同様に『インターステラー』はピックアップされなかった(実際には出演している)。しかし、データベースとして情報を持っていれば高い精度で候補を挙げてくれる。これは日本語環境では現時点で未サポートのOS X El Capitanの機能、「自然な文節からの検索」を先取りしているような印象を受けた。もう少し抽象的な「泣ける映画」みたいな問いかけでもちゃんとリクエストに応えてくれるのだ。

ご覧の通り、ホーム画面で「フランク・ザッパ」とお願いしても検索の対象外となる。しかし「ミュージック」の「For You」からは候補を挙げてくれた

ただ、検索対象がどうなっているのかよくわからないところもあり、例えば、ホーム画面で「フランク・ザッパ」と話しても候補は出てこない。が、「ミュージック」に入るとこれが機能する。同様に「App Store」で検索できたとしても、ホームからだとタイトル検索の対象外となるケースもあった。米国では映像コンテンツに関しては、HuluやNetflixを含めた串刺し検索に対応しているようなので、この辺りもう少し賢くなってくれると嬉しい。とは言え、Siriに話しかけて、ストア内を延々と逍遥するのも、それはそれで面白いので、単にコンテンツを楽しむ以外の時間の使い方を見つけられるかもしれない。

話しかけるのを続けていくうちに、もはや、リモコンに向かって話しかけるのに抵抗がなくなっているのに気付いた。よく「人前でSiriを使うのは恥ずかしい」とiOSデバイスでの利用を躊躇う声を聞くが、これはもしかすると、まずは部屋で話しかけるのに慣れようという狙いがあってのことなのだろうか(考えすぎか)。