Gaurav Agarwal氏 |
米NVIDIAは22日(現地時間)、同社製GPU「GeForce GTX 980」をノートPC向けに提供すると発表した。ASUSやGIGABYTE、MSI、CLEVOといったPCメーカー各社から搭載製品が予定されている。今回の発表に合わせて、GeForce GPUのプロダクトマーケティングを担当するGaurav Agarwal氏による説明会が開催されたので、この様子も含めて紹介したい。
パフォーマンスを求めるエンスージアスト向け
今回発表された最大のトピックは、ノートPC向けではなく、"デスクトップ向け"GPUである「GeForce GTX 980」をノートPCに提供するという点だ。従来、ノートPC向けには、型番の末尾に「M」が付いたGPUを提供してきた。Agarwal氏によると、2014年時点で、ノートPC向けGPUのパフォーマンスは、デスクトップ向けGPUの75%ほどまで近づいたというが、それでも両者の間には明確な差があった。
スペック比較 | ||
GeForce GTX 980 | GeForce GTX 980M | |
CUDAコア数 | 2,048基 | 1,536基 |
ベースクロック | 1,038MHz | |
ブーストクロック | 1,216MHz | 不明 |
メモリ | GDDR5 4GB | GDDR5 4GB or 8GB |
メモリスピード | 7Gbps | 5Gbps |
メモリインタフェース | 256bit | 256bit |
メモリバンド幅 | 224GB/s | 160GB/s |
TDP | 160W | 非公開 |
しかしながら、今回はパフォーマンスを求めるエンスージアスト(熱狂的なユーザー)に対して、デスクトップ向けの「GeForce GTX 980」をそのままノートPCに搭載する。スペックも同一で、基本的に同じダイのものだが、ノートPC向けとして「熱に強い」チップを選別して使用する。
ノートPCにデスクトップのパフォーマンスを
デスクトップ向けGPUを使うために、基板に採用された各コンポーネントも強化されている。まずはメモリだが、従来のノート向けGPUの最上位モデル「GeForce GTX 980M」では5Gbpsだが、「GeForce GTX 980」では7Gbpsだ。ただ、Agarwal氏によると「デスクトップ向けと比べて基板の実装面積がかなり小さい点が特徴」だという。
電源フェーズ数は「GeForce GTX 980M」では2~3に対して、「GeForce GTX 980」では4~8だ。数値に幅があるが、NVIDIAとしては最小値を4フェーズと規定し、そこからどれだけのフェーズを増やすのかはPCメーカー次第となっている。
また、基板に実装するキャパシタやインダクタにも高品質なものを採用することで、「GeForce GTX 980M」と比べて50%高いピーク電流に対応する。急激な電流の上昇を許容できるようになり、その分オーバークロックに対する耐性も高まる。NVIDIAのデータによるとGPUコアの動作周波数は1,400MHz以上、メモリスピードは7.5Gbps以上まで引き上げることができたという。
NVIDIAのデータによるとGPUコアの動作周波数は1,400MHz以上、メモリスピードは7.5Gbps以上まで引き上げることができたとする。もちろんノートPCのシステムはもちろん、GPUコアについてもオーバークロック耐性にばらつきがあるので、一概にこのパフォーマンスが保証されるわけではない。ただし「このくらいまで上げられるポテンシャルはある」(Agarwal氏)とのことだ |
デスクトップ向けGPUをノートPCに搭載するために、冷却システムについても、NVIDIAとPCメーカーで連携して開発を進めたという。ヒートパイプを大型化したり、数を増やすことで「GeForce GTX 980M」搭載ノートPCに比べて、2倍の冷却性能を実現したとしている。
IFA 2015でASUSが発表したゲーミングノートPC「GX 700」のように水冷システムを採用した製品もある。このほか、オーバークロック向けのユーティリティにもファンコントロール機能の追加が行われている。
従来のノートPCであれば、ユーザーからファンをコントロール手段がそれほどなかったが、「GeForce GTX 980」搭載ノートPCでは、オーバークロック向けのユーティリティにファンコントロール機能が搭載された。メーカーによってユーティリティはさまざまなので、こちらも実装は各メーカーで異なる可能性がある |
最新のAAAタイトルからVRまで対応
「GeForce GTX 980」を搭載することで、ノートPCでもThe Witcher3やGrand Theft Auto Vといった最新の大型タイトルゲームにおいても、フルHD(1,920×1,080ドット)の最高設定で60fpsのゲームプレイが可能になるほか、フルHDのディスプレイ3枚によるサラウンド環境も構築できる。
余談だが、NVIDIAは2015年6月にノートPC向け「G-SYNC」を発表した。このとき「ノートPC向けGPUでは、G-SYNCモジュールの機能が実装されているので、モジュールがなくともG-SYNCが利用可能」という説明だったのだが、今回あらためて説明された内容だと、「GPUが直接ディスプレイ(の走査)をコントロールできる場合は、モジュールなしでもG-SYNCに対応する」ということであった。
つまりデスクトップ向け「GeForce GTX 980」であっても、今回のようにノートPCに搭載され、直接ディスプレイをコントロールできるのであれば、モジュールがなくともG-SYNCが利用可能ということのようだ。
マルチディスプレイによって解像度を高めるほかにも、使っているディスプレイよりも高解像度でゲーム画面をレンダリングした後、画面出力時に実際の解像度にダウンスケールして、細かな草の輪郭などディテールを向上させる「Dynamic Super Resolution(DSR)」を利用するなど、画質を高める方向にパフォーマンスを使うことができる。
このほか、「GeForce GTX 980」搭載ノートPCはVRにも対応する。この場合の「VR対応」は、1,512×1,680ドットのディスプレイ2画面分を90fpsでレンダリングできるということで、VR HMD「Oculus Rift」の解像度とフレームレートは、2.160×1,200ドットの90fpsなので、これを満たすこととなる。「ノートPCがVRに対応することで、VRがポータブルな存在になる」とAgarwal氏は強調する。
なぜ、通常のゲーミングノートPCでVRに対応できないかというと、単純に性能が足りないことが挙げられる。VRは2つの画面を使うので、そもそも高解像度をレンダリングするパワーが必要となる。それも画面良いを軽減するために、それぞれの画面を90fpsで描画するとなればなおさらだ |
ベンチマークも実施
説明会では「GeForce GTX 980」を搭載したCLEVO製ノートPC「P870DM」と、デスクトップPCを用意し、いくつかベンチマークテストを実施することができた。CPUがIntel Core i7-6700K(P870DM)と、Intel Core i7-4790K(デスクトップPC)と異なるので、まったく同じシステムというわけではないが、参考として掲載する。CPU以外はメモリが16GB、グラフィックスがGeForce GTX 980だ。
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク (DirectX 11 / 1,980×1,080ドット / 最高品質) |
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スコア | 平均フレームレート | |
P870DM | 12552 | 96.160 |
デスクトップPC | 12415 | 95.751 |