シェービングのトラブルを分析して開発

フィリップス エレクトロニクス ジャパン メンズグルーミング マネージャーの藤井崇雅氏。回転式はくるくると円を描くように動かすのがコツだと語る

8月25日には製品発表会を開催。フィリップス エレクトロニクス ジャパン メンズグルーミング マネージャーの藤井崇雅氏が登壇し、製品開発の背景や製品の詳細について説明した。

シェーバーは、フィリップスがワールドワイドで展開する製品カテゴリで、開発も本社のあるオランダを中心に進められている。とはいえ、実は日本は世界に冠たるヒゲ剃り大国で、フィリップスは日本市場を重視しているという。

藤井氏は「世界的に見ると、ヒゲをたくわえたり、整えて生やしたりという人が増える傾向にある。そんななか、日本だけはヒゲをすべて剃る人がほとんどで傾向に変化もない。

また、日本は電気シェーバーが普及しており、成人男性のほぼ半数がシェーバーを使っている(残り半数は安全カミソリを使用。両方使用する人もいる)。このため、日本のシェーバー市場は米国や中国に次ぐ3位だが、とても重要視されている」と述べる。

【左】肌の赤みといったシェービングトラブルは、無用な圧や摩擦が原因。【中】回転式と往復式のヘッドの特性を凹凸面での接地面積から比較したもの。回転式は押し圧が小さくてもヘッドの形が見てとれる。【右】回転式のシェーバーが市場の成長を上回るペースで伸びていると示す

広尾プライム皮膚科院長で医学博士の谷裕子先生によれば、シェービングトラブルの多くは、無用な圧力や過度な摩擦に由来する肌の痛みや赤み。清潔な刃でヒゲを剃るのは大前提として「短時間で効率的に少ない圧で剃ることが大切」、そのために「しっかり肌に密着するシェーバーを選ぶべき」だそうだ。

回転式シェーバーは往復式シェーバーに比べると、あご下の凹面と頬の凸面のどちらにも少ない圧で密着でき、さらにより広い接触面積を実現できるという優位点を持つ。これらの調査結果を背景に、肌にやさしい7000シリーズと、すばやく剃れる5000シリーズという2つのコンセプトがワールドワイドで採用されたという。

日本市場向けに工夫したところとして、藤井氏は「7000シリーズにおいて、シェーバーの本体カラーでは珍しい白を採用した」と語る。プレミアム感と清潔感を醸し出すカラーとして、チャレンジングな投入だそうだ。また、5000シリーズについては「日本の若年層から高い支持を得られそうな色とカタチを目指した」とする。

発表会の会場では、製品が展示され、実際に手にとって試せた。回転式と往復式のちがいを見るデモでは、凹凸のあるラバーボードにホワイトボード用のペンで書かれた落書きを、布をかぶせたシェーバーヘッドでこすり、効率よく消せる様子を実演。回転式は無理に押し付けなくても肌に密着するとアピールしていた。

製品展示の様子。量販店の売り場など多くの場所で、この状態でディスプレイされる

回転式のヘッドは凹凸面にフィットして落書きをスルッと消せた