スマートフォンの運用コストを節約できる"格安スマホ"(格安SIM)が注目を集めている。格安SIMとは、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる事業者が、大手キャリアのネットワークを利用して提供する通信サービスのひとつ。さまざまな事業者が参入し、各社それぞれ特徴のあるサービスを提供しているが、「各社のサービスはどう違うの? 」「自分の使い方に向いているサービスはどれ? 」などと疑問を感じている読者も多いかもしれない。

そこで本企画では、毎回個別の格安SIMサービスを取り上げ、その特徴を紹介していきたい。今回は、日本通信が提供する「b-mobile」について紹介する。

高速定額プランやVAIO Phoneを提供する「b-mobile」

MVNO(仮想移動体通信事業者)の先駆けであり、2014年にイオンとの協業で提供した「イオンのスマートフォン」によって、"格安スマホ"というジャンルを立ち上げたことでも知られる日本通信。同社の個人向けブランドが「b-mobile」で、NTTドコモのLTE・3G網を利用して提供している。

日本通信が提供する個人向けサービス「b-mobile」

同サービスでは、音声通話SIMやデータ通信用SIM、プリペイドSIM、端末とSIMカードのセットなど、多彩な製品をラインナップしている。なかでも主力となるのが「b-mobile SIM 高速定額」、「b-mobile おかわりSIM」という2種類のSIMパッケージ、端末専用のSIMパッケージをセットにしたスマートフォン「VAIO Phone」の3製品だ。

高速通信使い放題に対応した「b-mobile SIM 高速定額」の料金プラン

b-mobile SIM 高速定額は、高速通信が使い放題で音声通話にも対応したSIMパッケージ。同社担当者によると、「格安SIMを選ぶにあたって、プランがわかりづらくなっている」ことから、「これを選べば大丈夫」というコンセプトでつくられたのが同パッケージであり、「データ量を気にせずに使える」点が特徴。同パッケージには、高速通信が使い放題のプランのほか、月間3GBまでの「ライトプラン」が用意されており、音声SIMに加えて、データ通信専用SIMも選択可能だ。

データ通信専用で5段階定額制の「b-mobile おかわりSIM」の料金プラン

b-mobile おかわりSIMは、データ通信専用で5段階定額制のSIMパッケージ。月額500円(以下、金額は税抜)から利用でき、上限1,500円で最大5GBまでの高速通信を利用できる。同社担当者は、通信容量が決まっている一般的なプランの場合、「使っていないのに料金が割高になったり、使い過ぎて速度制限がかかって使いにくくなる」ことがあるのに対し、同パッケージであれば「最大で使っても月額1,500円で、使わなければ安くなる」と解説する。

VAIO Phoneは、PCメーカーのVAIOがデザインを監修した日本通信オリジナルのAndroidスマートフォン。同端末専用の2種類の音声付きプランが用意され、高速通信が使い放題の「高速定額プラン」は月額1,980円、月間1GBまでの「ライトプラン」は月額980円で利用可能だ。このほか、同サービスでは、フィーチャーフォン向けで音声通話専用の「携帯電話SIM」、プリペイドSIM、モバイルルーターとSIMカードのセットなどの提供も行っている。

これら同社の製品は、公式オンラインショップの「b-Market」やAmazon.co.jpといったオンラインストアに加えて、イオンや家電量販店などの店舗でも購入可能。

b-mobileの特徴とは?

b-mobileの特徴として挙げられるのが、同社の"チャレンジする姿勢"だ。同社では、2010年よりドコモ網を利用した格安SIMの提供を開始したが、同社担当者は「当初は音声通話やMNPもできなかった。それを切り開いてきた」と語る。また、「世の中にない製品を提供してきたので」(同社担当者)、"高速定額"や"おかわりSIM"など、ネーミングもわかりやすく工夫しているという。

また、同サービスのもうひとつの特徴がユーザーへのサポートだ。同社担当者によると、「お客様対応を外部委託することなく、正社員で対応するように徹底している」とのことで、その一環として、VAIO PhoneやSIMフリーのiPhoneでは、端末専用のコールセンターを社内に設置している。また、同サービスのWebサイトでも初心者にわかりやすいように、たとえば「VAIO Phoneでは Googleアカウントを取得するところから解説している」(同社担当者)という。

同社担当者は、今後、エントリー層にも格安SIMが広がることを見据え、「それらの方々に使ってもらうのが現在のチャレンジ」だと語る。さらに、「格安SIMがブレークスルーするためには、まだまだ課題がある」として、「今後もチャレンジをし続けていく」と抱負を述べる。また、Amazonやイオンなどの一般流通でSIMパッケージを販売できるよう切り開いてきたことに触れ、「こういう所でSIMカードを買う、という既存の考え方にとらわれずに、販売チャネルについてもチャレンジしていきたい」とアピールした。