他技術へのアドバンテージは?

Wi-Fi AwareにはBluetoothによるiBeaconや、GPSなどの位置情報を使ったジオフェンシングなどの競合サービスがあるが、これらと比較したときのWi-Fi Awareのメリットはどのようなものになるだろうか。

たとえばiBeaconであれば数cm~数m程度まで、ビーコンの感度に合わせて細かに情報の提供内容を変えるといったことが可能になる。またGPSであれば、ジオフェンスのように広範囲を指定してのサービスも可能で、この場合はクラウドを使うので機器同士が通信しあう必要もない。

一方で、これらのサービスは位置データに依存するものが多く、実態値を反映した近接情報ではないということ。例えばGPS情報の誤差や、ビーコンを動かしてしまった際に対応する手段がないし、機器同士が動いている場合にはほぼ無力だ。また屋内や高密度の環境では精度が落ちたり、クラウドに依存するため情報が最新とは限らない、また通信速度が遅く、大容量データを扱うアプリケーションには不向きである、といった問題がある。

Wi-Fi Awareは無線LANの電波が届く短~中距離(数m~数十m前後)の間で、互いに移動する機器同士が相互に発見しあえるソリューションであり、一度接続すればWi-Fiに切り替えて高速通信も可能であるなど、従来のサービスに対するアドバンテージがある。駅やスタジアムなど、密度の高い場所での利用を前提としていることから、こうした環境でも比較的安定した動作が期待できる。

特に、相互に発見しあえるという点は、スマートフォンや自動車のような移動体通信において、活用しがいがあるだろう。また、ビーコン的な使い方をするにしても、従来のビーコンが一方通行の通信であったのに対し、Wi-Fi Awareは双方向通信が可能な点が異なる。この点も、コンテンツ配信の面でユニークなサービスの登場を期待できそうだ。