説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「近ごろのアプリ、やたら大きくないですか?」という質問に答えます。

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確かに、アプリは一貫して"肥大化"傾向にあります。ここでいう肥大化とは、多機能化/高機能化ではなくファイルサイズの増大です。App Storeがオープンしたばかりの頃は、せいぜい数十メガバイト程度がほとんどでしたが、いまや数百メガバイト、リッチなグラフィックを用意したゲームのようにギガバイト超えのものも珍しくありません。

ファイルサイズの増大傾向は、いくつかの要因に分けることができます。ひとつは、iPhoneの高解像度化です。初代iPhoneは画面サイズが480×320の約15万画素でしたが、高精細ディスプレイを搭載したiPhone 4は960×640の約61万画素、最新のiPhone 6は約100万画素、iPhone 6 Plusに至っては約207万画素にまで増えています。これだけの画素を埋めるとなると、ステージごとに大量の画像データを持つゲームアプリはサイズが増える一方です。

機種数の増加も要因のひとつです。iPhoneだけでも4/4sや5/5sなど画素数や縦横比の異なるモデルがあり、それぞれ最適な表示となるようアプリ側で調整すると、データ量が増加することがあります。対応するCPUアーキテクチャが64bitのみなのか32/64bit両対応なのか、iPhoneとiPadどちらでも動作するユニバーサルアプリとするのかによっても、データ量は上下します。いろいろな機種/仕様にあわせようとすると、アプリの肥大化は避けられません。

そこでAppleは、この秋公開予定のiOS 9にあわせ、アプリサイズをコンパクトにまとめる試みとして「App Thinning」を開始します。ゲームの面データなどをあとから追加ダウンロードできるようにする「オンデマンドリソース」、機種や画面解像度の異なるiOSデバイスごとにデータを再構成したアプリを提供する「スライシング」など、App Store側で柔軟に対応することによりアプリサイズを小さくします。アプリの質を落とさずに効率化しようという試みは、一定の効果を上げそうです。

数百メガバイトという太めのアプリは、この秋以降App Thinningの効果で"細く"なりそうです