2015年1月に発売された、ニコンの「AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR」は、NIKKORレンズでは初めてのPFレンズ(フレネルレンズ)を搭載した小型軽量の望遠レンズ。手振れ補正機能のVRはノーマル時で約4.5段分の補正効果があり、従来のレベルを超えた反射防止効果を持つナノクリスタルコートにより、ゴーストやフレアを抑えてよりクリアな描写力を発揮する。

ニコン「AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR」。編集時点の実勢価格は税込240,000円前後。写真ではD750に装着

AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VRは、300mmの望遠レンズとは思えないぐらい小さく、手に取るとびっくりするほど軽い。全長は約147.5mmで、重量は755g。レンズの薄肉化や比重の小さいガラス材を使用することで軽量化を進め、従来の「Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED」に比べ、重さは半分近くに(約42%・545g減)。長さもおよそ3分の2(75mm減)にコンパクト化された。

D750やD5500のように最近はデジタル一眼レフカメラが小型軽量化しているので、ボディとレンズのバランスを考えるとこれぐらいのサイズ感がちょうどいいと思う。

ニコンが開発したPFレンズは、光の回折現象を利用し、高い色収差補正能力を提供する。また、ナノクリタルコートによる光学性能や手振れ補正が優れているので、逆光時や暗い場面などでの撮影においても安定感がある。手振れ補正VRには「NOMAL」に加えて、動きや変化が激しい被写体の撮影に適した「SPORT」モードがあり、流し撮りでも有効に使える。

AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VRは、フルサイズセンサーのFXフォーマット向けレンズだが、APS-CサイズのDXフォーマットのデジタル一眼レフカメラでも使える。FXフォーマットでは300mmの焦点距離だが、DXフォーマットでは450mm相当になり、1.3倍クロップ機能と組み合わせると585mm相当まで伸びる。コンパクトなのに、大砲のような超望遠レンズ並みの写真を撮ることができるレンズだ。

「D750」で1.2×クロップ撮影。線がスッキリして文字もクリアに読める。ナチュラルな描写力の良さを感じた一枚
使用カメラ:D750 F10 1/640秒 ISO400 露出補正 +0.7

近づけない遠くのものを大きく写すことができるのが望遠レンズの魅力。SLと電車が重なるように近く感じられる
使用カメラ:D7200 F6.3 1/320秒 ISO640 露出補正 -0.3

花びらやつぼみの柔らかい雰囲気も表現できるので、いろいろな被写体で撮ってみたいと思わせる
使用カメラ:D7200 F5.6 1/500秒 ISO200 露出補正 +0.3