HA-2の試聴はスマートフォン2台、iPhone 6およびXperia Z Ultra SOL24との組み合わせで行った。WindowsやMacと接続し、ポータブルUSB DACとして利用することもできるが、このデザインとサイズ感、そしてモバイルバッテリーとしての機能を考慮すれば、やはりスマートフォンとの組み合わせがHA-2の本領だと言える。なお、ヘッドホンには高い解像感と音場感が印象的な開放型「SHURE SRH1840」をチョイスした。

今回の試聴環境。写真のXperia Z Ultra SOL24のほか、iPhone 6との組み合わせも試した

iPhone 6との接続には、HA-2に同梱されているUSB A-Lightningケーブルを利用する。既発売のLightning対応ヘッドホンアンプの多くは、Lightning経由でのハイレゾ出力には対応しないが(最大48kHz/16bit)、HA-2とiPhoneをこの短い付属ケーブルでつなぎ、「ONKYO HF Player」などのハイレゾ対応再生アプリを使えば384kHz/32bit PCMおよびDSD128(5.6MHz)を出力できる。嵩張るカメラコネクションキットは不要、取り回しのよさもポイントだ。

ハイレゾプレイヤーとしての使い勝手という点では、いまやAndroid端末もiPhoneに劣らない。Android版「ONKYO HF Player」が動作する端末であれば、付属のOTGケーブルでHA-2とつなぐだけで、ハイレゾ再生が可能になる。microSDカードを交換すれば容量を限りなく拡張できるだけに、ハイレゾプレイヤーとしてはむしろAndroid端末が有利だ。

iPhone 6と接続したところ。カメラコネクションキットを使わずに、Lightning端子からハイレゾ出力できる

CAPTION:Xperia Z Ultra SOL24と接続したところ。両端がMicro Bの短いUSB-OTGケーブルはあまり見かけないだけに、うれしい付属品といえる

実際に聴いてみた音の表現は

音の傾向は、ひと言でいえば「緻密」。聴きはじめは分解能の高さに意識が向きがちだが、2曲目、3曲目と聴き進めるにつれ音の厚みや実像感に手応えを覚えるようになる。解像感だけではなく、しっかり音が詰まった印象だ。利用したヘッドホンが開放型ということもあり、曲によっては低域のボディ感をあとひと声と感じた場面もあったが、クラシックギターの倍音成分は心地よく、微妙なニュアンスまで描き分ける。この緻密さは、DACチップ「Sabre32 Reference ES9018K2M」の貢献もあるだろうが、アナログアンプが持つ立ち上がり・立ち下りの鋭さが影響していそうだ。

低域のボディ感といえば、バスブースト機能について触れねばなるまい。側面にある「Bass+」スイッチを切り替えると有効になり、低域の量感を増してくれる機能だが、その音が "自然" なのだ。低域を持ち上げる機能であるだけに、当然ながらフラットさはなくなるが、それでいて中高域の質感は大きく変わらない。この点、ディスクリート回路で処理されていることが功を奏しているのだろう。

ところで、HA-2のヘッドホン出力は、左右チャンネルのグラウンド(GND)がアンプ回路からジャック部まで完全に分離されている。OPPO PM-3など4極プラグのヘッドホンを利用すれば、この設計を生かすことができるのだ。今回の試聴では、あえて一般的な3極プラグのヘッドホンを選択しているが、チャンネルセパレーションが徹底された4極プラグヘッドホンのほうがより定位感や広い音場感を得られるはず。機会があれば、じっくり聴き直してみたい。

側面のボタンを押すと、グリーンのLEDでバッテリー残量を確認できる