――Tetzchner氏はOpera時代「顔の見えるCEO」といったイメージがありましたが、ユーザーコミュニティに対する取り組みにも力を入れていましたね。
Jonと僕の間でもあれやりたいこれやりたいといろいろ話はしていたんですけど、結局、今のブラウザはユーザーの声を聞いていない、あるいはユーザーの声に応えきれていない(というところが開発の原動力になっている)。
少なくとも我々はかつてOperaで、ユーザーの声を聞いてユーザーがほしいものを作っていく、そういう考え方でやってきたので、「ユーザーのために立ち上がらなきゃいけない」という思いでVivaldiはスタートしました。
――そのユーザー、ひと言でいうと「既存のブラウザに飽き足らないパワーユーザー」のためのブラウザを提供するのがVivaldiのミッションということですね。
今は、昔のOperaにあったような機能を実装している段階なので、もしかしたらVivaldiはOpera 12を再現するプロジェクトと思われているかもしれませんが、あくまでもそれは最初のステップなだけで、その先には当然Operaにもなかった新しい機能を入れていくつもりです。実装済みの機能でも、例えばキーボード操作のための「クイックコマンド」は、かつての機能というより新しい機能のひとつと言えると思います。
――ブラウザはいわゆる「コモディティ」になり、一般的には差別化が難しいソフトウェアですが、Vivaldiが目指すようなパワフルなブラウザを求めるユーザーというのは、今でもたくさんいるんでしょうか。果たしてそこに市場が残っているのか。
今も市場があると考えています。30億人とも言われるインターネット人口のうち何%がそのパワーユーザーに相当するのか、我々も数値化できているわけではありませんが、例えば現在でも1,500万ユーザー程度、多く見積もると2,000万ユーザー程度が、バージョン12以前のOperaを今でも使用しているとみています。
また統計にもよりますが、(ユーザーが能動的に選んでインストールしない限り使われない)Firefoxも2割弱のシェアがある。こうして見ると、ブラウザというのは我々のような小さなスタートアップ企業にとってはかなり大きな市場なんです。
現在Vivaldiは、製品コンセプトを紹介するための「テクニカルプレビュー」版、最新の開発状況を伝えるため週に一度公開される「スナップショット」版が入手可能。今後どのように製品を発展させていくのか、インタビュー後半ではVivaldiの中身についてさらに掘り下げる。