1月14日(以下、米国時間)、Microsoftは自社製スマートフォンとなる「Lumia 435」「Lumia 532」を発表した。OSにWindows Phone 8.1を搭載し、100ドルを切るエントリーモデルとして、欧州やインド、アジア、中東、アフリカの一部にて2月に発売する。
「Microsoft Lumia」ブランドは、2014年4月にMicrosoftがNOKIAから携帯電話事業を買収して手に入れたものだ。自社製タブレットのSurfaceを筆頭にデバイス面で攻勢を強めるMicrosoftだが、Microsoft Lumiaの発売エリアに日本は含まれていない。そこで、日本にも将来上陸するであろうWindows Phone、特にWindows Phone 8.1以降のMicrosoft Lumiaブランドに絞って現状を整理してみよう。
Nokia LumiaからMicrosoft Lumiaにブランド名を改称したのが2014年10月であることから、バックカバーのロゴを変更しているのは、その翌月にリリースしたLumia 535と今回のLumia 435/532のみ。
いずれもエントリー向けのモデルであり、Nexus 6やiPhone 6とスペックで競えるのはLumia 930のみ。この辺りは2015年3月に発表されるといわれている「Lumia 1330」が対抗馬になりそうだ。
筆者がMicrosoft Lumiaに注目する理由の一つが、1月21日にMicrosoftが開催する「Windows 10: The Next Chapter」である。Windows 10の新機能や次なるプレビュー版リリースに加えて、「Windows 10 for mobile(仮称)」を発表するという噂がまことしやかにささやかれているからだ。前回の発表会に引き続き、Windows全般のデザインや製品の管理担当CVP(コーポレートバイスプレジデント)であるJoe Belfiore氏が登壇することもあり、噂の信憑性は高いだろう。
Microsoft Lumiaの日本上陸に向けては、SIMフリーモデルにおけるLTEの周波数帯も重要なポイントとなる。日本国内のLTE周波数は通信キャリアによって異なり、NTTドコモであればバンド1の2100MHz帯、バンド3の1800MHz帯、バンド19の800MHz帯、バンド21の1500MHz帯が使用可能。さらに今後はバンド28の700MHz帯にも対応する予定だ。
一方、Lumiaが対応するLTE周波数は、Lumia 635とLumia 830がLTE 800/900/1800/2600MHz帯、Lumia 930はさらに2100MHz帯も利用できる。一方でLumia 435とLumia 532の対応周波数では、日本国内でLTEによる通信は不可能である。もちろんLumia 435Lumia 532は途上国向けモデルのため致し方ないところだが、iPhoneやAndroid端末に代わる第3のデバイスとはなり得ないのだ。
また、Microsoft Lumiaを購入しあぐねているユーザーにとって注目すべきは、前述したLumia 1330しか現時点で選択肢となり得ない。だが、早急に飛びつくのも早計だ。正式な発売タイミングは2015年3月の発表を待つしかないが、Lumia 1330が搭載するOSがWindows Phone 8.1かWindows 10 for mobile(仮)によって様子が変わってくる。OSをアップグレードするよりもプリインストールの状態で使った方が安定動作することは明白だからだ。
話は少々脱線するが、以前日本マイクロソフト関係者に取材したところ、2014年時点でも社員用のスマートフォンはWindows Phone 7搭載のIS12Tらしい。その搭載OSであるWindows Phone 7.xは日本時間の2014年10月14日でサポートを終了する。このようなスマートフォンを社員用公式デバイスとして扱うのは都合が悪いという(図07)。
前述の関係者は取材したタイミングで、「上層部が大手キャリアと交渉を重ねているのでは」と述べていたが、他方で「現場の社員からは、SIMフリーモデルを大手量販店やMicrosoft Store Japanで直販した方が早いという声も聞こえている」とのことだ。このような背景から、2015年にLumia 1330や同等のミドルクラスモデルを日本国内で展開する可能性が高いといえよう。2015年はWindows Phoneの年となるかもしれない。
阿久津良和(Cactus)