3.「安く」 - 大量データであっても低コスト

オンラインで活用するためには、ストレージ装置にデータを保管しておく必要があります。DAS、NAS、SANといった従来のストレージ装置は箱モノであり、いわゆるスケールアップ型です。つまり、物理的にデータを保存できる容量に制限があるため、容量一杯になったり、性能が落ちてきたりした場合には、大容量・高性能の装置や上位機種に買換え、データを移しかえるという作業やコストが必要になります。

最近、「SDS(Software Defined Storage)」とも呼ばれ始めたソフトウェア定義のオブジェクトストレージ製品であれば、汎用サーバをハードウェアに使います。汎用サーバは年々集積度や性能を向上させながら低価格化しています。また、Linuxのような汎用的なOS上で動作するソフトウェア製品であれば、コストを比較しながら、用途にあった最適の汎用サーバを選択することができます。同一ベンダのストレージ製品を使い続けることを余議なくされるハードウェアベンダロックインという状況に陥りません。

最近の汎用サーバは、写真のように内蔵ディスクをたくさん搭載できる製品も数多く販売されています。たとえば、このサーバの場合、内蔵ディスクが12個搭載できますので、1つのハードディスクが2TBであれば24TB、4TB であれば48TBまでデータを格納できます。これらの汎用サーバを単体で利用するのではなく、たとえば数十台を並べ、その内蔵ディスクをソフトウェアが統合制御して、1つのストレージ空間を作り上げます。スケールアウトと呼ばれる仕組みがあるオブジェクトストレージ製品であれば、データの増加とともに、汎用サーバを追加していくことで、ストレージシステム全体の容量や性能をあげてゆくことができます。装置置換に伴う投資やデータ移行に伴う作業コストも飛躍的に軽減できます。

ハードディスクを12個搭載する汎用サーバ例

4.「安全・安心」 - 複数データセンターにデータを分散・複製

どんなに故障の確率が少なく、高価なストレージ装置であったとしても、2011年の東日本大震災のような災害に見舞われると、データセンターが倒壊したり、ネットワークに接続できないなどにより、データ保護や管理が難しくなることも私たちは経験しています。そのため、「DR(Disaster Recovery:災害復旧)」や「BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)」のためには、データを地域分散し、複製し、安全に保護することも求められています。

階層構造がなく、ネットワーク経由でデータを読み書きできるオブジェクトストレージは、複数サーバやデータセンター間にデータを分散配置や複製して保護することが得意な構造であると言えます。複数のサーバにデータの複製をすることで、サーバやデータセンターに障害があってもデータを喪失したり、サービス停止することなく、安全にデータ保護・管理が行えます。

日本の品質基準に応えるオブジェクトストレージ製品「Cloudian HyperStore」

クラウディアンが開発提供する「Cloudian HyperStore」は、2011年の提供開始以降、日本の大手クラウド事業者に多数商用採用されていることからも明らかなように、日本の厳しい品質基準に応えてきたオブジェクトストレージ製品です。特に、2014年からは国内外の企業ITにおける採用も相次いでいます。

クラウドストレージの事実上の標準であるS3 APIに完全準拠するREST APIがアプリケーションとのインタフェースであり、すでに数多くの企業ITが採用しているバックアップ、アーカイブ、ファイル同期・共有等のアプリケーションをそのまま活用できます。また、Amazon S3やCloudian HyperStoreを採用するパブリッククラウドと、企業自身が管理するプライベートクラウドやオンプレミスのストレージをハイブリッドに活用できるという点も大きなメリットです。Cloudian HyperStoreを経由し、格納したデータ(オブジェクト)をパブリッククラウドサービスであるAmazon S3やGlacierに自動階層化する機能も標準装備されています。

Cloudian HyperStoreは、Linux(Red Hat、CentOS)対応の汎用サーバで動作するソフトウェア製品と、汎用サーバにあらかじめインストールし最適チューニングを施したハードウェアアプライアンス製品の2種類があり、最小構成は汎用サーバ2台、推奨構成は3台から利用開始できます。数百テラバイトや1ペタバイトといった大規模サイズを対象とする製品とは異なり、中小規模から大規模まで幅広いお客様に手軽に利用いただける(「Storage for Everyone」)オブジェクトストレージ製品です。

著者紹介:

本橋信也
クラウディアン株式会社 取締役 COO
日本とシリコンバレーを開発拠点としてグローバルに製品展開するクラウディアンのChief Operating Officer(COO)。前職の大手通信事業者時代を含め30年以上にわたり経営戦略、経営企画、事業開発を担当。著書に「NOSQLの基礎知識 ビッグデータを活かすデータベース技術」(リックテレコム刊)があるほか、数多くの専門誌に寄稿。