10月29日(米国時間)、Microsoftはリストバンド型のウェアラブルデバイス「Microsoft Band」を発表した(関連記事)。内蔵センサーから心拍数や歩数といった身体情報、GPS経由による走行ルートなどを記録する。さらにスマートフォンと連動し、メールや予定表の確認、音声アシスタント「Contra」によるコントロールも可能だ。
さらに、収集したデータをクラウドサービス「Microsoft HealthVault」にアップロードし、健康管理に役立てられる。Windowsストアアプリ「BINGヘルスケア&フィットネス」との連動も期待できるだろう。データを閲覧するアプリケーションは各プラットフォームで無償配布中。Windows Phoneを筆頭にiOS版、Android版も用意している。OSに関する公式の説明はないが、組み込み向けのWindows Embedded Compactあたりを採用していると思われる。
「Microsoft Band」の登場により、Appleの「Apple Watch」、Googleの「Android Wear」搭載製品とウェアラブルデバイスにおいても各社そろい踏みの状態になった。スマートフォン市場では後塵を拝したMicrosoftだが、スマートウォッチ市場に対するスタートは大きく遅れなかったといえる。
話は変わるが、筆者は最近iPhone 6を購入した。各種センサーを利用した健康管理システム・アプリケーション「ヘルスケア」の存在に注目していたのである。フタを開けてみると、リリース直後からフレームワークであるHealth Kitは正常に動作せず、安定動作したのは2014年9月末にリリースしたiOS 8.0.2以降。そのせいか、ヘルスケアに対応するアプリケーションは最近出始めた程度だ。
もちろんスマートウォッチ市場を席巻するには、ライフログ/ヘルス系の機能に加え、シンプルで使いやすいアプリケーションの提供など、数多くの要因が入り交じる。そこで重要になるのがアプリケーションなどを販売するコンテンツストアの存在だ。
登録アプリケーション数について、Windows Phoneストアは2014年8月時点で30万本を超えたことをアピールしたが、App Storeは2014年6月のWWDCで120万本と発表。Google Playは2014年6月のGoogle I/Oで150万本を超えたことを明らかにした。App StoreはWindows Phoneストアの4倍、Google Playは5倍にまで拡大している。
だが、注目すべきは登録アプリケーション数ではなく、その背景にいるアプリケーション開発者だ。スマートフォンと連動するスマートウォッチが、魅力的なプラットフォームとして開発者の目に映るかがポイントなのである。ハードウェアの面でも、アプリケーションの面でも各社スマートウォッチは横並びの状態だ。これから生み出されるアプリケーションがデジタルガジェットマニアではなく、大多数の一般コンシューマーが、「便利だ」「面白い」と感じるかが、スマートウォッチ市場を征する鍵となるだろう。
阿久津良和(Cactus)