楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズは7日、同社が提供するスマートフォン向け通話サービス「楽天でんわ」において、特別プラン「3分0円プラン」の提供を開始した。同プランは、3分以内の国内通話が何度でも0円でかけられるというプランで、楽天でんわに新規申し込みをした先着5万名を対象に期間限定で提供される。
同プランの発表前には、楽天でんわのWebサイトで新プランを予告するティザーサイトが公開されて注目を集めたが、3分以内の通話料が0円という詳細が明らかになったことで、さらなる話題を呼んでいる。とはいえ、気になるのは、"3分0円"というプランが本当にお得なのかどうかという点だろう。そこで本稿では、実際に楽天でんわの特別プランを試し、お得の度合いや注意点を検証してみたので紹介しよう。
楽天でんわの3分0円プランの概要をチェック
楽天でんわは、Webサイトでの利用登録後、同サービスの専用アプリから通話発信することで利用できるスマートフォン向け通話サービス。月額基本料は無料で、通常の「30秒10円プラン」では、10円/30秒(税抜)の通話料で電話をかけることが可能だ。
主要キャリアでは、通話定額プランを盛り込んだスマートフォン向け新料金プランをそれぞれ導入しているが、ユーザーの賛否は分かれており、各社とも従量課金制の通話プランを継続して提供している(NTTドコモでは新規受付を終了)。これらの従量課金制の通話プランでは、通話料は20円/30秒(税抜)となっているため、楽天でんわを利用することで、半額の通話料で電話をかけることが可能になっている。
今回、新たに提供された特別プランの「3分0円プラン」は、3分以内の国内通話であれば、何度かけても通話料0円で利用できるというもので、使い方によっては通常プランよりも通話料をさらに節約することが可能。ただし、通話時間が3分を超えた場合は超過した部分に対し、20円/30秒(税抜)の通話料がかかる。また、国際電話については通常プランと同様となり、通話料は10円/30秒(非課税)となる。
3分0円プランは、新規申し込みユーザーのみを対象にし、先着5万名限定で提供される。なお、提供期間は2015年1月10日までの期間限定となり、その後、同プランを継続するか終了するかは今後検討される。また、既存ユーザーが同プランに申し込むことはできないが、2015年1月以降に同プランが継続されることとなれば、プラン変更が可能になる予定。
「3分0円プラン」を実際に利用してみた
楽天でんわの3分0円プランを検討するにあたって、とくに気になるポイントは、実際に電話をかける際に、通話料が0円になる3分以内で通話が終わるかどうかだろう。通話時間が3分を超えると、通話料は20円/30秒(税抜)となり、通常プランの10円/30秒(税抜)よりも割高になるため、この点が気になるユーザーは多いだろう。そこで、実際に3分0円プランに申し込み、楽天でんわを1日利用してみた。
同プランを利用したのは10月8日の1日間。仕事で電話をかける際に、すべての通話を楽天でんわの専用アプリから発信した。なお、筆者は日頃から、それほど頻繁に通話を利用しておらず、電話をかけるとしても担当編集者や会社の同僚とのやりとりがほとんどだ。
結果を見てみると、同日に通話発信したのは計5回で、いずれも通話時間は3分以内だった。そのため、この日の通話料は0円だ。なお、楽天でんわでは、同サービスのWebサイトのマイページから毎月の利用明細を閲覧でき、発信先や通話時間、通話料金などを確認することができる。
なお、楽天でんわはIP電話ではなく、電話回線を利用した通話サービスであるため、通話品質が良いのが特長。また、電話をかけた相手には、いつものスマートフォンの電話番号が通知される。実際に使ってみた感想としても、通話品質は問題なく、音声遅延もとくに気にならなかった。
利用明細を詳しく見てみると、通話時間が2分43秒になった通話があり、あと数十秒長く話していたとしたら、通話料が発生していたことがわかる。しかし、以下に示すグラフの通り、通話時間が3分を超え、通話料が発生したとしても、6分以内の通話であれば、通常の30秒10円プランよりも通話料は安くなる。
また、3分超の通話料20円/30秒は、キャリアの従量課金制の通話プランと同様であるため、どれほど長時間通話したとしても、キャリアの従量課金制の通話料を上回ってしまう心配はない。なお、グラフでは1分ごとの通話料を直線で結んでわかりやすくしているが、実際の通話料は30秒ごとの課金となる。
すべての通話を3分以内におさめることが難しいとしても、6分以内であれば、かなりの通話が範囲内におさまると考えられ、3分0円プランは従来の楽天でんわよりも、さらにお得なプランだと見ることができるだろう。
「3分0円プラン」のメリットと注意点は?
それでは、楽天でんわの3分0円プランが、どのような人にとってメリットがあるプランなのかを見ていきたいが、その前に、キャリアの通話定額プランが本当にお得なのかを考えてみたい。
ここでは、KDDIの新旧の料金プランを例として取り上げるが、新料金プランについては、3社ほぼ横並びとなっている。新料金プランでは、通話定額プランの基本使用料が月額2,700円(以下、すべて税抜)、インターネット接続サービスが月額300円、パケット定額サービスは月間5GBのプランを選んだ場合、月額5,000円となり、合計月額料金は8,000円だ。
新料金プラン (カケホとデジラ) |
従来プラン (LTEプラン) |
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基本使用料 | 2,700円 | 934円 |
インターネット接続サービス | 300円 | 300円 |
パケット定額サービス | 5,000円(5GB) | 5,700円(7GB) |
合計 | 8,000円 | 6,934円 |
■ KDDIの新料金プランと従来プランの比較(金額は税抜) |
一方、KDDIの従来プランでは、基本使用料が934円、インターネット接続サービスが300円、パケット定額サービスは月間7GBで月額5,700円。合計月額料金は6,934円だが、通話料は従量課金制となり、通話するごとに20円/30秒の通話料がかかる。
一見してわかる通り、新料金プランでは通話定額となる分、基本使用料が高く設定されているほか、パケット定額サービスも割高になっており、あまり通話しない人にとっては実質的な値上げとなる。そのため、あまり通話しない人であれば、新料金プランを選ばずに、従来プランで楽天でんわの3分0円プランを利用するのが、料金を節約する最善の方法と言えるだろう。
また、新旧プランの基本使用料の差額を通話料で割ると44.15分となるため、具体的には月間の通話時間が45分以上になるかどうかが、通話定額プランを選択する上でのひとつの目安になる。しかし、月間の通話時間が45分以上になる場合でも、各通話のほとんどが3分以内であれば、従来プランで楽天でんわの3分0円プランを利用したほうが、新料金プランよりも安くなる可能性がある。
そのため、3分以上の長電話を頻繁にかけるといった人でない限り、通話定額の新料金プランを選択するよりも、従来プランと楽天でんわの3分0円プランを組み合わせたほうがお得であり、かなり多くの人にとって、3分0円プランはメリットがあると言える。
なお、すでにキャリアの新料金プランを契約している人にとっては、国内通話で楽天でんわを利用するメリットはほとんどない。楽天でんわを利用した通話は、キャリアの通話定額の対象外となり、3分を超えた通話については通話料が発生するためだ。しかし、新料金プランを契約している人でも、国際電話は楽天でんわを利用するのがお得だ。米国やハワイ、韓国、中国など32カ国に10円/30秒(非課税)という格安の通話料で電話をかけられるため、国際電話をよく利用する人であれば、ぜひ楽天でんわに登録しておきたいところだ。
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楽天でんわの特別プラン「3分0円プラン」を実際に試してみたが、普段通りに利用したところ、通話時間が3分を超えることはなく、1日の通話料は0円となった。それほど頻繁に通話を利用しなければ、かなりお得なプランであり、通話料は節約したいがキャリアの通話定額プランは割高だと感じている人にとっては、キャリアの従来プランと楽天でんわが最適な組み合わせだと言えるだろう。