ワコムは5日、同社のスタイラスペン4機種について、新製品発表会を開催した。その中で質疑応答の時間が設けられ、同社がリリースした新製品に関する今後の方針などが語られた。

発表会にゲスト出演したダンスパフォーマンス集団「Team Black Starz(ブラスタ)」

今回初めて登場したメモ用途を想定したスタイラスペン「Bamboo Stylus fineline」のペン先は、1.9mmとiOS向け製品の中ではかなり細い。そして、クリエイター向けのハイエンドスタイラスペン「Intuos Creative Stylus 2」も、ペン先が従来品よりも細く(2.9mm)なり、材質も樹脂に変更されるなど、使用感がペンタブレットの「Intuos Pro」シリーズのペンに近づいていた感がある。

こうした新たな製品ラインナップを背景に、「細いペン先の製品は誤差が出る傾向にあるが、精度はどのように担保しているか」と質問があがり、それに対して同社は「iPadは電磁誘導のセンサーがないため、タッチパネル上でどれだけの精度を出すかが求められる。「Bamboo Stylus fineline」と「Intuos Creative Stylus 2」は、簡単に言うと微弱な信号をペンの方で検知して増幅して戻すようにして、ペンの側から位置を知らせるような仕組みを採用した。また、SDKの中に誤差が出さないようにするアルゴリズムを組み込んでいる」と回答。同社はスタイラスの開発にあたり、必要となるシステムはすべて社内でまかない、作り込んでいると強調した。

「Team Black Starz(ブラスタ)」のダンスパフォーマンス

「Bamboo Stylus fineline」、「Intuos Creative Stylus 2」は、両製品とも筆圧感知機能を備えたハイエンドタイプのスタイラスペンだが、その設計上の違いとして、「「Bamboo Stylus fineline」はメモでの利用を想定しているため、微細な精度よりもペン先の細さを優先。クリエイターが描画を行うことを想定した「Intuos Creative Stylus 2」は、精度を最優先し、ペン先の太さを意図的にやや太くした」と語った。

また、「細いペン先のスタイラスペンは他社からも発売されているが、それらに対するアドバンテージは?」との質問には、「上位製品(「Bamboo Stylus fineline」と「Intuos Creative Stylus 2」)には端末ごとに固有のIDを組み込んでおり、これによって今後発表する予定のサービスを活用することができる」と回答。同社はクラウドサービスの本格展開に向け準備を進めている段階ということで、異なる端末間でデータ交換を可能にするクリップボード「DropZone」、ペンタブレットの個々の設定を保存・共有できる「ControlRoom」など、順次各種サービスの提供を予定しているとのことだ。

ワコム ジャパン・アジアパシフィック統括本部長 小宮山茂樹氏

「Bamboo Stylus fineline」

「Intuos Creative Stylus 2」

そのほか、同社が展開するクリエイティブ分野の主力製品であるペンタブレット/液晶ペンタブレットのように、「書き味(素材)の違うペン先を用意する予定はあるか?」との質問には、「今のところは「計画中」という段階で具体的な話はできない」としながらも、同社の最終目標は「デジタルデバイス上で、紙と鉛筆で書く/描くような体験を提供すること」として、それに準じて最適なものを提供していく意思はあるとコメントした。