DTCP-IPは、DRMがかけられたコンテンツを、LANなどのネットワーク経由で配信するための仕組みだ。基本的には地上デジタル放送などの番組を録画したHDDレコーダーから、録画番組を別の機器に配信して視聴したり、ダビングしたり、といった機能を実現するためのものである。

スマート時代の家電研究 - バックナンバー
第1回・タブレットでテレビ……見てみませんか?(1)

今回は「iPad mini」を使ってテレビの持ち出しにチャレンジ

ネットワーク経由での映像配信の規格にはDLNAがあるが、これに著作権保護の仕組みを取り入れたのがDTCP-IPだ。DTCPは著作権保護技術であり、これをIPネットワーク上で配信できるようにしたのがDTCP-IPとなる。

DLNAだけでは、DRMで保護されたコンテンツをネットワーク越しに配信できないため、このDTCP-IPが作られたのだが、「日本国内で録画されたテレビ番組を配信する」用途以外にはほぼ使われていない。もともと、HDDレコーダー自体が欧米では普及しておらず、ほぼ日本国内向けの仕様と言っていいだろう。

DTCP-IPを利用するためには、配信側のレコーダーだけでなく、受信側の端末もDTCP-IPに対応しておく必要がある。今回はタブレットとして「iPad mini」を使うが、基本的には、ハードウェアではなくソフトウェアで実現できるので、タブレットであれば「DTCP-IP対応アプリ」をインストールしておけば、基本的には視聴できる。

やや古めのレコーダーからの録画番組配信は可能?

(↑)iPad mini上でDiXiM Digital TV for iOSを起動したところ。LAN内のサーバーが一覧表示される

(↑)ここでDBR-Z160を選択すると、レコーダー内の番組が列挙される。ただし、グレーアウトしている番組は再生できない。今回は、すべての番組がグレーアウトしていた

DTCP-IP対応アプリは、「Twonky Beam」「DiXiM」「Media Link Player」といった製品がある。DiXiMは1,000円、Twonkyはダウンロード無料だが、DTCP-IP対応のためにアプリ内購入で700円、Media Linkは900円の料金がかかる。Twonkyのみ、NTTドコモのスマートフォンユーザーは無料で利用できるというメリットもある。

DiXiMを例に取ってみよう。iOS版のDiXiM Digital TV for iOSを起動すると、「サーバー」の選択画面が表示される。これはDLNAベースのサーバーの一覧で、PCに保存したデジカメの動画など著作権保護のないコンテンツも同時に利用できる。

LAN内にレコーダーがあると、ここに列挙される。これを選択すればHDD内に保存されている番組が羅列され、それを選択すると再生が始まる……はずなのだが、そもそも筆者宅の「REGZA(レグザ)ブルーレイ DBR-Z160」は録画番組の再生ができない。レコーダー側にトランスコードするしつつ配信する、といった機能がないからだろう。

そこで、「持ち出し番組」としてエンコードすると、ようやく再生できるようになる

代わりに、「持ち出し番組」としてレコーダー側で録画番組をエンコードしておくと、iPad miniのDiXiMで再生ができた。ただ、番組の一覧表示や再生が開始されるまでまたされ、早送り、早戻しも時間がかかって、あまり実用的ではない。また、番組によっては映像が出ずに音だけが再生されることもあって、ちょっとよく分からない。

やはりタブレットでテレビを観る場合は、最近のレコーダーでDiXiMなどのサポート機種を使うのが安全、ということだろう。