OSアップデートや購入したパソコンがタッチパネル非対応のため、Windows8の特徴的なユーザーインタフェース(UI)の使い勝手の醍醐味を活かしきれないパソコンを、強力にサポートしてくれるワコムの「Bamboo Pad」。業務用の電卓程度の大きさのタッチパッド端末で、パソコンの入力機能を拡張してくれる製品だ。
また、この製品のユニークな点は、拡張型のタッチパッドでありながらも、簡易のペンタブレットとしても活用することができる点だ。筆圧感知式のスタイラスペンの機能を併せ持ち、パッドの上で手書き入力が可能になる。
通常、パソコン上での手書き入力というと、イラスト等の描画をイメージする人も多いだろう。しかし、スタイラスペンによるオフィス文書の操作というのは一度使ってみると快適この上ない。特にマイクロソフトの「Office」製品であれば“Microsoft.Ink”を使った筆圧表現も可能。そのほか“Tablet PC入力パネル”と呼ばれる手書き入力した文字を認識し、テキストデータに変換して入力できる機能も利用できるようになる。それでは実際にOfficeソフトでのBamboo Padの便利な使い方を紹介してみたい。
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Wordで手書き描画。パッドの上にスタイラスペンをかざすと、“インクツール”のタブが表示され、線種やカラーが選べるようになる。手書きした文字や絵をオブジェクトとして選択し、拡大・縮小したりコピーできるのもデジタルデータならでは |
まずは、イメージしやすい“文書校正”。Word、ExcelなどのOfficeデータを開いて、紙にペン入れする感覚で、スタイラスペンで直接手書き校正。文書の上に直接描けるので、マウスやキーボードで入力しながら行う場合と作業効率は雲泥の差だ。特に図版に修正を指示する場合は、直感的にできて楽々。線の太さや色の変更も“インクツール”でパレットのようにペン先でタッチするだけでよい。もちろん、PDF文書の場合は、Adobe Acrobat Readerの“描画マークアップ”内の“フリーハンドの線を描画”を使用すれば手書きでの校正が可能だ。
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Wordでの文書校正。修正したい箇所を直接マークしたりして紙の感覚で校正(左)。Excelでの校正。数式や書式に左右されて直接校正を入れにくいExcelだが、出力やPDFに変換しなくてもそのままアカ入れ。別々のデータや文書を参照し合わなくてもいいので、その後直す際にも間違えにくくなる(右) |
また、ペンタブレットとタッチパッドを併用できるBamboo Padなら、画面のズームや移動も同じパッドの上で行えるのも利点。慣れればスタイラスペンを握ったままで、指先で画面操作も行えるので、手が行ったり来たりせずにスムーズに素早く作業ができる。ちなみに文書がPDFであった場合にも、Wordで読み込み変換すれば同じように校正作業を行うことができる。
次に便利な活用方法は、プレゼンテーション。PowerPointなどの文書をプロジェクターなどに映し出して説明する際、文字や図版をマーキングしたりというレーザーポインターのような働きをスタイラスペンが担ってくれる。画面に表示したスライド画面にBamboo Padを使ってスタイラスペンで直接描くだけでそれができる。
そして、前述の分で少し触れた、“Tablet PC入力パネル”機能もぜひ活用してほしい。手書き入力された文字を認識・判別して、テキストに自動変換し入力してくれる、もとは主にタブレットPC向けにOffice 2007から搭載された機能だが、ハードウェアに対応していなければ利用できないため、これまであまり注目されてこなかった。しかし、タッチ操作を意識したWindows8やOffice 2013からは再び脚光を集め、活用度が復活したかたちだ。キーボードをカチカチと叩きたくないが、テキストデータでメモを残したい場合などにも有効だろう。
筆者の場合は、Officeソフトの中でも特にOne Noteを常用している。メモパッドのようなソフトだが、録音、録画などマルチメディアデータなども一括で管理することができて大変重宝している。ソフト内の機能で録音することもでき、録音しながらメモを取ることで、録音データと同期したメモを残せるので、後から必要箇所だけを聴き返したりするのに大変効率がいいのだ。写真やスキャンした配布資料なども、ノートに直接貼り付けるような感覚で、ひとつにまとめて管理ができて便利だ。そして、Word等よりも書式などの自由度が高いこのOne Noteは、フリーハンドでアイディアをメモしておいたりするのにちょうどいいので、Bamboo Padの相性がとてもよいのだ。
これまで、描画等のクリエイティブなツールというイメージが強かったペンタブレットだが、タッチパッドという機能も兼ね備えるBamboo Padなら、Office製品をはじめとしたツールを操作するオフィスシーンでも大活躍するだろう。なお、ワコムのWebサイト上でも、Windows 8.1上でBamboo Padをどのように使うことができるかを紹介する特別ページを公開している。