海上保安庁は東日本大震災の発生後、10日間で360人を救助するなどの活動をしており、鹿児島からさつまも4回派遣されて活動を行った。震災時の活動だけでなく、普段も海の安全に関して、さまざまな活動を行っている。海の緊急時には、118番への通報で海上保安庁に連絡を取れるが、震災時に基地局が停波して圏外になったり、圏外の場所にいたりした場合に連絡が取れなくなる。そうした場合にも、今回のシステムがあれば、携帯での連絡が取れるようになり「有意義だろうという感想を持った」(さつま船長・佐藤至氏)という。

左からKDDI特別通信対策室長・木佐貫啓氏、運用品質管理部長・高井久徳氏、第十管区海上保安本部総務部情報管理官・饗場秀行氏、一番右が鹿児島海上保安部巡視船さつま船長・佐藤至氏

ちなみに、今回は通話の検証だが、LTEのデータ通信にも対応できる。ただし、衛星回線なので回線速度は限定的。VoLTEへの対応もできるそうだが、その場合は一度に通話できる回線数が多少減るという。

現在の電波法では、電波を吹いている基地局は移動しないことが前提となっている。つまり、電波を発しながら航行する船舶は想定外であり、「違法ではないが規定がない」(KDDI)状態だという。そのため、KDDIでは実証実験と開発を進めて実用化を目指すとともに、法改正により船上基地局が実現できるように働きかけていく意向だ。

(記事提供: AndroWire編集部)