Firefox 29の新機能
では、Firefox 29の新機能や変更点を紹介していこう。
- カスタマイズモードが一新され、カスタマイズが容易に
- メニューによく使われる機能がまとめられ、表示位置が右側に移動
- タブのデザインが滑らかなものに変更。またアクティブでないタブはめだたなく表示
- 新機能を紹介するインタラクティブなツアーが追加
- Firefoxアカウントを作成することでFirefox Syncを設定
- Gamepad APIが利用可能に
- en-USロケールで使用されている場合、検索バーでのYahoo検索にHTTPSを利用
- マレー語[ma]が利用可能に
- W3C Web Notificationによる通知をクリックすると、その通知を発行したページの表示されているタブへ切り替わる
まずは、UIの変更であろう。インストール直後のFirefox 29が、図12である。
まず、目につくのは、Appボタンが消え、タブが滑らかな曲線となったことだ。また、メニューバーを表示しても、ページタイトルが表示されない。非アクティブなタブは、背景にと同じ色で表示されほとんどめだたない(逆にアクティブなタブが明確にわかる)。マウスポインタをフォーカスするとかすかに強調される。
表示されるメッセージからもプライバシーの重視姿勢がうかがえる。そして、ポップアップの[開始する]をクリックすると、図14の新機能紹介ツアーが表示される。
機能の概要やどこをクリックすればよいかわかる。そして、メニューボタン(別名: バーガーボタン)をクリックすることで、各種メニューやカスタマイズを呼び出す。
ボタンが大きくなったことで、タッチパネルでも使いやすい。Australisでは、8割の操作をツールバー上で行うことを前提としている。それ以外の操作を、メニューやアドオンで行う。アドオンバーが廃止されたのも、ボタンなどの機能はツールバーへの集約が目的といえるだろう。そのために、カスタマイズ機能が強化された。メニューからカスタマイズを選ぶと、図16のようになる。
ボタンをドラッグ&ドロップで移動できる。メニューパネルからは、ツールバーへ移動したり、削除が行える。こうして、自分好みのボタン配置やメニュー構成を作成できる。今回のバージョンアップで、かなり重要な新機能といえるだろう。筆者も実環境で使うようになったが、カスタマイズを行う機会が多い。ツールバーにほしいボタン、位置……まさに試行錯誤中である。これを繰り返して、手に馴染んだ文具のようになっていくのだろう。そのためのUIであり、カスタマイズ機能ともいえる。
メニューパネルの[Syncにサインイン]を選ぶと、Firefox Syncが設定される(図17)。
これは設定が難しいため、Syncを使わないというユーザーへの対処も含んでいる。そして、楽しい機能がブックマークの追加に搭載された。表示しているページで、ツールバーのバックマークの追加(☆のボタン)をクリックすると、アニメーション表示され、ブックマークに追加される。
図18 ブックマークに追加アニメーション(Mozilla Japanのブログより引用) |
いかにも、ブックマークに追加されたというイメージだ。さて、一見すると他のブラウザに似てきたという印象もある。この点について、前出の浅井氏に話をうかがった。表面的なUIについては差別化を図ることはしていない、ブラウザ間で異なるUIを目指すことは逆に使いにくくなってしまうだろうとのことだ。過去においては、意図的に似せることもあったとのことである。逆に、カスタマイズを使いやすく、メニューを工夫したことで、他のブラウザとは一線を画すことができただろうと語っていた。
最近のブラウザで、高速化は重要な課題である。同じ目標である以上、自然と似たようなUIになるのも納得できる。しかし、一歩奥に進むことで、使い勝手の差が生じる。このあたりにも注目したいところだ。さらに、高い信頼性のようなUIには現れない部分も違いとなってくるだろう。
また、セキュリティアップデートは、以下の通りである。
- デバッガによるJavaScriptを使ったXrayWrappers回避[高]
- nsHostResolveにおける解放後使用[最高]
- ワイルドカード証明書の不正確なIDNAドメイン名一致[中]
- imgLoaderにおける画像リサイズ中の解放後使用[最高]
- 履歴遷移を通じたクロスサイトスクリプティング(XSS)[高]
- Web Notification APIを通じた特権昇格[最高]
- Cairoにおける境界外書き込み[高]
- Android版Firefoxのロケーションバー抑制[中]
- HTML動画用のText Track Managerにおける解放後使用[最高]
- 非XBLオブジェクトをXBLとして使用した場合に生じるバッファオーバーフロー[高]
- JPEG画像デコード中の境界外読み取り[中]
- Web Audioにおけるメモリ破壊[高]
- Mozilla Maintenance Serviceインストーラを通じた特権昇格[高]
- さまざまなメモリ安全性の問題(rv:29.0/rv:24.5)[最高]
今回も「最高」などが多い。すみやかにアップデートしたい。