宮坂社長は、2001年6月にADSLサービス「Yahoo! BB」を開始したときも同じことが起きた、と指摘する。当時、ADSLの利用者が拡大し、インターネットユーザーが増大したことで、ヤフーの利用者が増え、インターネット広告市場が立ち上がった、とし、同じことをワイモバイルで実現したい考えだ。ヤフーの参入で競争が激化することで、「消費者からすると、スマートフォンやタブレットをますます買いやすくなる」(同)ことになり、モバイルユーザーが拡大する。それによって、モバイル広告市場がさらに巨大化し、ヤフーの利益につながる、という考え方だ。「スマートフォンの利用者が倍になれば、ヤフーの業績も倍になる確率が相当高い」と宮坂社長は強調する。

もちろん、ヤフーの利用者拡大も目的で、これに関しては、イー・アクセスとウィルコムが抱えていた約3,000店の販売店舗が大きな役割を果たす。宮坂社長は、これまでの経験で、ネットサービスの利用者は、オンラインだけで獲得できるのは一部で、リアルな販路での訴求が必要になってくると話す。新たに得たリアル店舗でYahoo!プレミアム会員などの利用者拡大を図るという。

宮坂社長は、新会社は「思い切ったビジネスをやるべき」と話しつつ、具体的な施策に関しては検討中ということで、明らかにはしていない。

過去にYahoo! BBが拡大した背景には、接続のための機器を大量に配布し、料金の低価格化を図るなど、大がかりな販促策があった。ワイモバイルでスマートフォンの拡大を図るために、同じ施策を取る可能性はある。しかし、現在のキャリアの競争は、「MNPユーザーにキャッシュバックを手厚くする」という状況で、宮坂社長は「同じことをやると圧殺されるので、ヤフーならではのやり方をやらなければならない」と話す。

その具体例は明らかにされなかったが、Yahoo! JAPANのトップページからワイモバイルに対する意見を募集しており、その意見も参考にしながら、料金、サービス、端末など、各種施策を決めていくという。