冬の風物詩にして印象的な風景、街のイルミネーション。その美しさを写真に収めたいとスマホやカメラで撮影してみたものの、どうも雰囲気が出ない。暗いから手ぶれもしやすいし…。そんな経験をお持ちの方も多いはず。そこで今回は、カシオのEXILIM「EX-10」で撮影に挑戦。開放F値1.8のレンズと受光面積の広い1/1.7型センサー、強力な手ぶれ補正など、その実力をご覧あれ。
レンズの魅力を生かして撮ろう!
イルミネーションのような夜景撮影でEX-10を使うとき、積極的に生かしていきたいのが、広角側開放F値1.8、望遠端(35mm判換算で112mm相当)でもF2.5の4倍ズームレンズ。EX-10のレンズは、開放でも十分に使える描写性能を持っている。この開放F値の小ささ、いわゆるレンズ明るさを武器に、シャッター速度を稼げるのだ。これは手ぶれ防止に有効なうえ、ISO感度の上昇を抑えて画質向上にも貢献する(とはいえ、EX-10は高感度でもセンサーサイズを超えた高画質。下のISO1000の作例をご覧いただきたい)。
したがって、イルミネーションの撮影では、開放F値を自由に設定して撮影できるモード「絞り優先AE」(モードダイヤルの「A」ポジション)を中心に使っていきたい。
ピントを手前に置けば、被写界深度の浅さから、背景の点光源が具合のいい玉ボケになることも見逃せない。玉ボケは、ズームを使って大きさを調整できる。ただし、玉ボケがキレイに見える位置や大きさは撮影条件によって変わるので、玉ボケをむやみに大きくすればいいというものでもない。ズームレバーを操作して、一番キレイに見えるところを探ってみよう。
以下、作例中の焦点距離は35mm判換算。サムネイルのクリックで拡大表示、「原寸大画像」のクリックで原寸大画像を表示 |
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1/60秒 F1.8 ISO200 28mm |
1/100秒 F2.5 ISO1000 112mm |
1/100秒 F2.5 ISO500 112mm |
1/2秒 F2.5 ISO80 112mm |
絞り込んで撮ると……
逆に、EX-10の最大F値であるF8まで絞り込んでみよう。すると、点光源に6本の美しい輝線が出る。この雪の結晶を連想させる輝きが、いかにもロマンチックな冬の夜という雰囲気だ。
EX-10はレンズ基部にファンクションリングを装備しており、絞り優先AEモード時はこのリングを回してF値を変えられる(※初期設定時)。小さなボタンやダイヤルを操作する必要がないので、手袋をしていても容易に操作でき、冬の夜にはことさら便利さを実感できる機能だ。
絞り込んだ写真を撮影するときは、EX-10の良好な画質を可能な限り引き出すためにも、できるだけ露出時間を稼ぎたいところ。また、周辺の雰囲気を広角で収める場合も、絞ることでよりピント精度が高まる。となると、やはり三脚が必須だ。折り畳み式の軽量コンパクトな三脚をひとつ持って行くと、写真表現の幅が格段に広がる。
なお、場所によっては通行の妨げになることから三脚の使用が禁止されている場合もあるので注意したい。禁止されていない場合でも、周囲への配慮を心がけよう。
1秒 F8.0 ISO80 28mm |
1秒 F8.0 ISO80 28mm |
撮影時に便利なのが、EX-10のチルト機構付き3.5型液晶モニタだ。液晶モニタを上に起こせば、低位置からアオリ気味のアングルを狙うときや、手持ちで上方を見上げて撮る場合でも、無理のない自然な姿勢で撮影可能。また、EX-10では下方向にチルトさせることもできるようになったのもポイントだ。上から下をのぞき込むような撮影でも、上半身を覆いかぶせるようにしなくて済むため、自分の影が被写体に落ちるのを防ぐことができる(姿勢が窮屈にならないのもありがたい)。
こんなふうに、楽しいイルミネーション撮影を手軽に行えるEX-10。もちろん、絞り優先AEだけでなく、EXILIM伝統のアートショットなどを使用した撮影も楽しい。EX-10をコートのポケットに入れて、冬の街へ出てみよう。きっと、美しい思い出がメモリーカードにたくさん描き込まれるに違いない。