NVIDIAは5日(米国時間)、米ラスベガスで開催したプレスカンファレンスにおいて、モバイル機器向けプロセッサの新製品「Tegra K1」を発表した。同社のPC向けグラフィックスカード「GeForce」にも用いられるKeplerアーキテクチャをベースとした192コアのGPUを搭載し、32bitおよび64bitの2バージョンがラインナップされる。Tegra K1を搭載する機器は、32bit版が2014年前半、64bit版が2014年後半に発売される予定。

「Tegra K1」を発表するNVIDIA社長兼CEOのJen-Hsun Huang氏。この画像は32bit版のダイをイメージしている

32bit版Tegra K1の開発ボードとシャープ製4K液晶パネルで4K動画を再生するデモンストレーション

Tegra K1は、各社のAndroidタブレットやマイクロソフトのSurface 2などに搭載されている「Tegra 4」の後継チップとなるが、GPUのアーキテクチャがPC向けの製品と共通になり、DirectX 11やOpenGL 4.4といった最新のグラフィックスAPIをフルサポートするのが特徴。多くのゲームに使用されているゲームエンジン「Unreal Engine」の最新版、Unreal Engine 4の動作が既に可能となっているといい、ゲーム開発者はPCや家庭用ゲーム機向けに制作したゲームソフトをモバイル機器向けにも展開できるようになる。

Unreal Engine 3ではPC向けのリリースからモバイル機器(iOS)でのサポートまで8年を要したが、Unreal Engine 4ではそれが2年に短縮され、最新のゲームをより早くモバイル機器にも提供可能となる

iPhone 5sやiPad Airなどに搭載されるApple A7チップとの比較では、2.5倍以上のグラフィックス性能を有すると発表。A7ではUnreal Engine 4はまだ動作しないため比較不能としている

32bit版のCPU部分は、従来から引き続きARM Cortex-A15コアを4コア搭載し、最大動作周波数は2.3GHz。一方、64bit版製品では、コードネーム"Denver"で呼ばれるNVIDIAが独自開発したCPUコア(アーキテクチャはARMv8)を2コア搭載し、最大動作周波数は2.5GHzとなっている。

32bit版と64bit版の2バージョンを用意し、64bit版では独自開発コアの"Denver"をついに採用

プレスカンファレンスでは、32bit版Tegra K1搭載タブレットのリファレンスデザインをデモ機として展示し、PCと同等の高度なグラフィックス機能が利用可能となっていることが紹介された。

32bit版Tegra K1搭載タブレットのリファレンスデザインで、Android OSおよびグラフィックスデモが動作している様子

そのほか、カンファレンスではTegra K1をベースとした車載向けモジュール「Tegra K1 VCM」や、ディスプレイとグラフィックスカードのリフレッシュタイミングを同期することで実質的なパフォーマンスを向上させる技術「G-Sync」などが発表された。カンファレンス全体の模様については追って別記事でリポートする。