日本国内でもXbox Musicが本格的にスタートし、勢いづいてきたMicrosoftだが、2013年最後は日本マイクロソフトに注目したい。同社はサポート終了まで100日となったWindows XPに関して、さらなる啓蒙活動を行っている。そもそもWindows XPのサポート終了で、どのような変化が生じるのだろうか。
100日後にサポート終了となるWindows XP
ご承知のとおり2014年4月9日、Windows XPおよびOffice 2003の延長サポートフェーズが終了する。日本マイクロソフトはさらなる周知を行うため、2013年12月30日で残り100日となることを公式ブログでアピールした (図01)。
2013年11月22日には、総務大臣がWindows XPのサポート終了に関する談話を発表し、警察庁も「平成26年4月のサポート終了後にWindows XPを使用することの危険性」と題したPDFファイルを配布している。Windows XPのサポート終了は、政府や行政機関を巻き込むほど重大なインシデントなのだ (図02)。
IDC Japanの調査によると、2013年末時点でWindows XPマシンは法人で723万台、個人で597万台が残るという。合計1,320万台のWindows XPマシンがセキュリティリスクに晒される可能性があるため、行政機関も動かざるを得ないのだろう。
Windows XPを使い続けるための方法はあるか?
誤解を恐れずに述べれば、2014年4月以降もWindows XPを使い続けることは可能だが、多くのユーザーにとって現実的な選択肢とはならない。最大の問題はセキュリティリスクである。「マイクロソフトセキュリティ情報」を見ればわかるように、これまで数多くのコンポーネントにセキュリティホールが発見され、それを防ぐための修正プログラムが定期的にリリースされてきた。サポート終了は、この対応がなくなることを意味するため、犯罪リスクの高い街中に裸で身を晒すようなものである (図03)。
そこで有用なのが仮想環境である。たとえばVMwareシリーズであれば、物理マシンを仮想マシンに変換する「VMware vCenter Converter」を使えば、現在のWindows XP環境をそのまま仮想マシン上のゲストOSとして実行できる。さらにWindows XPからのインターネットアクセスはあきらめ、ホストオンリー、つまりゲストOSとホストOS間のみ通信可能なネットワーク形態を選択すればよい (図04~05)。
このようにすれば、ホストマシンにWindows XPのセキュリティホールを狙うマルウェアが侵入しなければ、ある程度安全な状態でWindows XPを運用できる。Windows Vista以降のOSで動作しないソフトウェアや周辺機器を利用し続ける目的で、Windows XP環境を残したい場合に有用だ。
他方でWindows XPからWindows 7もしくはWindows 8.1へOSをアップグレード(移行)する場合、事実上コンピューターの買い替えが必要となる。図08はWindows XPとWindows 8の推奨スペックだが、ご覧のとおりCPUやメモリなどハードウェア構成が段違いだ。Intel Core iシリーズでWindows XPを使っている場合はアップグレードしても問題ないと思われるが、Pentium 4やCore 2シリーズの場合はコンピューター本体ごと買い替えるのが無難だ。
前述のとおりWindows XPを使い続けることは可能だが、何らかの脆弱性が発覚した場合に自力で対応できる能力が必要だ。自身でバイナリーファイルを書き換えられる知識とスキルを持つ方以外は、素直にWindows 7やWindows 8.1へ移行することを強くお勧めする。
Windows XPのサポートが12.5年にも及んだ訳
余談となるが、Windows XPのサポート期間が12.5年も続いた背景についても触れてみたい。Microsoftの各種製品は5年間のメインストリームサポートフェーズと、5年間の延長サポートフェーズを基本方針とするサポートライフサイクルを採用している (図06)。だが、OSでは次のバージョンがリリースされた2年後にサポートを終了する場合もある。
Windows XPは2001年10月にリリースされているため、基本方針に沿えば2006年10月にメインストリームサポートを終えていたはずである。だが、Microsoftは後者のサポートライフサイクルを採用し、Windows Vistaがリリースされた2007年1月の2年後にあたる、2009年1月をメインストリームサポート終了日とした (図07)。
さらに、Windows XP Home EditionはProfessionalと異なり、コンシューマー向けエディションのため、本来であれば延長サポートフェーズは用意されない。しかし、当時のMicrosoftはWindows XPの高いシェアを鑑みて、Home Editionにも延長サポートフェーズを適用している。このような経緯でWindows XPは12.5年という長期にわたるサポートを続けることになったのだ。
阿久津良和(Cactus)