デザイン自体はクラシカルだが、過去のニコンの銀塩カメラのいずれかをモチーフにしたのではなく、ニコンカメラを優先しつつ、さまざまなカメラのエッセンスを採り入れたということで、それに合わせるように、「Nikon」ロゴも原稿のものではなく、過去の直線的なデザインとしている。

キットレンズは「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G(Special Editon)」で、既存レンズと光学系は変わらないが、シルバーのリングを備えたほか、フォーカスリングにはゴムローレットを採用して、Ai/Ai-S時代のレンズを想定したデザインに変更されている。

キットレンズの「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G(Special Editon)」

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ニコンはこれまでFマウント自体は変更していないが、露出周りの機能で変更があり、1977年からAi方式に対応している。Dfでは、マウント部にAiリングを備え、これを使うことでAi非対応のオールドレンズを装着して利用することもできるようになっている(絞りは手動になる)。

マウント部にAiリングを備える

オールドレンズを含め、Fマウントレンズが利用できる

「Df」は、仕事で「D4」を使いつつ休日はじっくりと撮影に取り組みたいというユーザー層が想定されている。同社は、持ち歩くことを楽しみ、じっくりと作品を作り上げるような趣味性の高いカメラと位置付ける。

「純粋に写真を楽しむことを追求したオンリーワンのカメラ」(同)であり、デザインや操作性など、撮影者の歓声(フィーリング)を刺激し、小型軽量で高画質という品質(クオリティ)という2つのコンセプトを融合(フュージョン)させたカメラだと後藤氏。このため、「フュージョン(Fusion)の"f"」(同)を冠した「Df」という名称になったそうだ。

ターゲットユーザー

2つのコンセプトを融合させたカメラ

ニコンでは、カメラ開発における技術などの検討やアドバイスを行う後藤研究室を立ち上げているが、今回の「Df」は、この後藤研究室の立ち上げ当初(2009年)から企画されており、デザインの方向性は早々に企画化されていたという。

同社フェローの後藤哲朗氏

後藤研究室では、09年の段階から企画されていたカメラ

しかし社内でも賛否両論で、「30年以上カメラを開発しているが、ここまで(意見が)真っ二つになったのは初めて」(同)というほどだったそうだ。それでも企画を進めていったが、通常のカメラ開発やミラーレス機「Nikon 1」の開発もあり、「ヒト・モノ・カネを集めるのが大変だった」(同)ため、開発に時間がかかった。

また、東日本大震災や工場のあるタイの洪水といった外的要因も重なり、製品化がこの時期になったという。当初はセンサーなどは「D3S」ベースが想定されていたが、製品化が遅れたため、現行の最新機種である「D4」のセンサーとエンジンを採用する形になったそうだ。

「Df」は、後藤研究室が一から企画化して世に送り出す第1号のカメラだ。後藤氏は、「(完成したカメラに)100点を付けたことはない。まだ100点に及ばないところはあるので、チャンスがあれば後継機種をやりたい」とコメント。当初は月産1万2,000台を想定するが、予定通りかそれ以上の売上が達成できれば、同シリーズが継続するという認識を示している。

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