64bit CPUの互換性

iPhone 5sは、市販のスマートフォンでは初の64bit CPUを搭載した端末だ。サードパーティー製ネイティブアプリがApp Store経由で流通をはじめて以降、iOSデバイスは一貫して32bitのARM系CPUを採用しており、少なくともバイナリ互換性は維持されてきたが、64bitネイティブのアプリが登場するはずの今後については不明な点が多い。

最初のテストは、既存のアプリが支障なく動作するかどうか。Safariやメール、カレンダーなどiOSに標準装備のアプリは、64bitネイティブのアプリという可能性もあるが、iPhone 5s発売以前からApp Storeで公開されていたサードパーティー製アプリはすべて32bitネイティブなはず。しかも、iTunesからバックアップを復元する形でiPhone 5sへインストールすれば、32/64bitのユニバーサルバイナリ(ファットバイナリ)が入り込む余地はなく、「64bit CPU搭載のiPhone 5sで32bitアプリが支障なく動く」ことの検証になる。

約30のアプリを試したところ、起動しない、異常終了するといった問題は確認できなかった。Twitter、Facebook、LINE、Google Maps、Angry Birds……iOS 7対応済のアプリは、iPhone 5で起動したときと動作に変わりなく、警告を受けることもなかった。App Storeから「今週のApp」を新規ダウンロードしてみたが、こちらも支障なし。動作しないアプリもあるだろうが、それはほぼ同時に公開されたiOS 7との兼ね合いのほうが多そうだ。とりあえず、64bit CPUだからこその互換性に関する心配は必要ないだろう。

「Sys Status」でiPhone 5sのCPU情報を調べようとしたが、現段階では不明の部分が多い(左はiPhone 5、右はiPhone 5s)

アプリはiTunesにバックアップしておいたものを復元して使用。iOS 7に対応済のものについては、特に支障なく動作した