大日本印刷株式会社(以下、DNP)のC&I事業部では、企業のITの活用を支援する、さまざまなサービスやソリューションを提供している。ASP型のポイントカードサービスもその中の1つだ。同サービスでは、2013年のサーバーリプレイスに際し、サイオステクノロジー株式会社(以下、サイオス)のHAクラスターソフトウェア「LifeKeeper」を導入。これにより、高速フラッシュストレージの性能を活かしたデータベース基盤の構築に成功したという。

DNP
C&I事業部 e-CRM本部
CRMソリューション企画開発室
西 遥氏(写真左)
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C&I事業部 e-CRM本部
CRMソリューション企画開発室
鈴木 洋一郎氏(写真真ん中)
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C&I事業部 e-CRM本部
CRMソリューション企画開発室
亀山 潤一氏(写真右)

データベースのディスクI/Oの限界突破を目指して

DNPのASP型のポイントカードサービスは、定期的に機能強化やシステムの最適化が進められてきた。基盤の改善によるサービス品質の向上、特に処理全体の高速化と安定化は重要な課題のひとつである。システムの運用や保守の管理を担当しているC&I事業部 e-CRM本部 CRMソリューション企画開発室の鈴木洋一郎氏は、次のように語る。

「私どもが所属する部門はポイントカードサービスの企画、販促、運営の中心です。今までもシステムの増強などを継続的に実施してきましたが、サービス品質が期待通りに向上していませんでした。詳しく調べてみると、データベースのディスクI/O性能が、必要な性能に対し不足しているという結論に至ったのです」

実際の調査分析にあたったCRMソリューション企画開発室の亀山潤一氏は次のように補足する。

「使用しているDBMS分析ツールを使ってログを検討したところ、このシステムでは小さなディスクI/Oが大量に発生していて、滞留しがちになっていることがわかりました。ディスクI/Oを減らすためにSQLのチューニングなども行いましたが、それにも限界がありました。そのためディスクI/Oを減らし、かつディスクI/Oの基本性能を向上させる方向にアプローチを変更する必要があると思いました」

実績の少ない高速フラッシュストレージをどのように安全に導入するか

そこでI/O性能を抜本的に改善する手立てとして白羽の矢が立てられたのが、Fusion-io社のioDrive2だ。ioDrive2はサーバーのPCI Expressスロットに装着するタイプのフラッシュストレージであり、SASやSATAなどのディスクインタフェースで接続する一般的なSSDに比べ、PCI Expressの広帯域を活かした圧倒的な高速性を特徴としている。特にランダムアクセス性能と応答速度が共に高いため、今回のような小さなディスクI/Oが大量に発生するシステムにはうってつけだ。

ただし、いくら性能面で優れていても、それだけでサービスの基盤となる重要なシステムに導入できるわけではない。ioDrive2のように共有ディスク構成を取らない場合や、DBMSの種類にかかわらず、安定して冗長構成を実現できる仕組みの採用が課題となった。

「ioDrive2はしばらく前から注目していて、その高性能をいかにしてサービスに取り込むかを考えていました。しかしそこで問題として浮上するのが、どのようにして冗長性を確保するかという点です。また、新しい技術であるため世間の導入実績は少なく、自社実績もありません。導入に当たりIT部門を説得するために、私どもビジネス部門側で事前に検証する必要があると判断しました」(鈴木氏)