ローランド「FP-80」は、本格的なピアノサウンドと鍵盤をスリムデザインで実現したスピーカー内蔵のデジタルピアノ。コンパクトなボディーに音色のレイヤーやスプリットをはじめ、自動伴奏、マイク入力、オーディオ録音などの多彩な機能を備え、さらにはiPhoneアプリによるセッションも行えるなど、本機1台だけで音楽や演奏をとことん楽しめるようになっている。今回は、そんな「FP-80」のピアノとしての表現力と演奏性の高さ、さらにはiPhoneとの連携などに注目し、その特徴と魅力についてレポートをお届けしていこう。
デジタルピアノらしからぬスリムなデザインを採用する「FP-80」のルックスは、家庭用デジタルピアノというよりステージピアノの雰囲気に近い。本体とスタンドは別売りとなっており、折りたためるキーボードスタンドと組み合わせれば、省スペースかつ圧迫感のないモダンスタイルに、また据え置き型専用のスタンドを組み合わせることで、従来のデジタルピアノのような落ち着いたクラシックスタイルを再現することも可能だ。さらに、本体に内蔵された4つのスピーカーで立体的な音場感をリアルに演出する同社独自の立体音響システム「アコースティックプロジェクション」を採用しており、コンパクトなボディーながら臨場感あふれる音場で、プレイヤー自身が楽しみながら演奏することができる。
「FP-80」では、本格的ピアノサウンドを持ち運びも可能なコンパクトサイズで実現。定番のブラックカラーのほか、リビングなどの家具にもマッチしやすいホワイトカラーも用意されている |
「FP-80」のフロントパネルには、左右2基のスピーカーを搭載。さらに、鍵盤両サイドの部分にも左右2基のスピーカーがレイアウトされ、ピアノ独特の包み込むような奥行きや広がりを再現する |
ピアニストにとって、ピアノ演奏のフィーリングに一番大きく影響するのが、指が直接触れる鍵盤部分。「FP-80」には、「88鍵 PHAIIIアイボリー・フィールS鍵盤」(エスケープメント付き)が装備されており、鍵盤表面は象牙と黒檀の鍵盤を模した美しい仕上がりとなっている。滑りにくく吸湿性にも優れたこの鍵盤は、連打性も高くプレイヤーの繊細なタッチを余すところなくダイレクトに反映し、より多彩な表現を可能にしてくれる。なお、肝心のサウンドエンジンについても、同社のプロフェッショナルシンセサイザーなどの製品開発で培われた「スーパーナチュラルピアノ音源」(エレクトリックピアノも含む)を搭載。そのサウンドは、演奏の強弱に応じ無段階に音質が変化するだけでなく、打鍵後の余韻が時間経過と共に微妙に音質変化ならが減衰するなど、グランドピアノに肉迫する本格的なサウンドを味わえるのが最大の魅力といえるだろう。
「FP-80」×iPhone!? その連携機能とは
このように、ピアノという楽器としての高いポテンシャルを備えた「FP-80」だが、デジタルならではの便利かつ多様な機能も要チェックなのだ。本機には、プロミュージシャンが実際に演奏した、ポップス、ジャズ、ロックなどの90種類のリズムや伴奏をバックに演奏をより楽しめる自動伴奏機能、鍵盤演奏のコードを検出しマイク入力からの音声に最適なハモリを加えるハーモニー機能、接続したUSBメモリーに演奏をオーディオ・データ(WAV形式)として保存する録音機能など、演奏だけでなく作曲や練習の際にも大いに役立つ各種機能が凝縮されている。そして、もうひとつ忘れてはならないのがiPhoneアプリを使って、簡単にワイヤレスでのセッションや録音を実現する連携機能だろう。
まず、「FP-80」とiPhoneを接続する場合には、別売のワイヤレスUSBアダプター「WNA1100-RL」が必要となる。そして、ローランドの電子楽器とiPhoneの曲にあわせてセッションしたり、自分の演奏をiPhoneに録音できる専用アプリ「Air Recorder」が、App Storeにて無料で配信されているので、あらかじめインストールしておくこと。準備が整ったら、ワイヤレスUSBアダプターを本体背面の「USB MEMORY」端子に接続し、Wi-Fiの接続設定を行う。ルータを中心とした一般的なネットワーク構成のほか、アドホックモードによる直接接続にも対応しているので、都合に合わせて接続モードを選択しよう。
「FP-80」にWi-Fi機能を追加するためのワイヤレスUSBアダプターを接続。今回は、アドホックモードでの接続を行えるよう、本体のファンクション画面にて設定を行った。接続に必要なパスワードもこちらで確認できる |
iPhoneで「Air Recorder」を起動すると、初期設定がiPhoneの内蔵マイクから録音を行う状態となっているので、「FP-80」との接続設定を必ず行うこと。本アプリでは、自身のピアノ演奏をワイヤレス録音、再生するだけでなく、iPhoneのミュージックライブラリに保存されている楽曲をピアノ本体のスピーカーからワイヤレスで再生し、お気に入り楽曲とのセッションも気軽に楽しめる。もちろん、セッションの様子をそのまま録音することも可能だ。ちなみに、ワイヤレスで再生された楽曲に対しても「FP-80」に内蔵されたエフェクトをかけることができ、本機のセンターキャンセル機能をオンした状態で楽曲を再生&録音すれば、アプリ単体では不可能なオリジナルカラオケ(ボーカル消去)をとても簡単に作成できた。「FP-80」とiPhoneの連携による裏ワザとしてぜひお試しいただきたいテクニックだ。
グランドピアノさながらのリアルなサウンドと最先端のデジタルテクノロジーを見事に調和し、リビングからライブステージまで幅広いシーンでピアノをより身近に感じられるスタイリッシュなデジタルピアノ「FP-80」で、ぜひ皆さんも音楽をもっと楽しんでみてはいかがだろうか。