総務省は7月26日、電波監理審議会を開き、UQコミュニケーションズ(UQ)に対して2,625MHz~2,645MHz、20MHz幅の周波数割り当てを行うと発表した。広域移動無線アクセスシステム(BWA)に関する認定申請には、UQのほかにソフトバンク傘下のWireless City Planning(WCP)も申請を行っていた。

周波数割り当てにあたっては、7月25日に「UQコミュニケーションズに20MHzの周波数割当」という一部報道があり、WCP 代表取締役社長の孫正義氏が同日、総務省に抗議を行っていた。

それに加えて、本日(7月26日)には、電波監理審議会の答申決定後に、WCPとして「不服申し入れ及び情報公開請求書」を新藤義孝 総務大臣、電波監理審議会会長の前田忠昭氏、総務省総合通信基盤局長の吉良裕臣氏あてに提出している。

内容としては、「WCPが申請した内容が専門的見地に基づいて、客観性、公平性の観点から適切に評価されていない」、「プロセスに重大な疑義があるため、情報公開請求を行う」の2点が示されている。

なぜUQコミュニケーションズに決定したのか

総務省資料より
2.5GHz帯の周波数割当状況

総務省では、競願時の審査基準(第1基準)として平成29年度末における特定(申請周波数帯)基地局の予定人口カバー率比較を行った。この項目では、UQが96.3%、WCPが95.2%で両社の申請が同等との評価を受けた。

続く第2基準では、基準をA~Gまで設けて配点を行い、合計点数の高低により順位付けを行った。各基準で評価が同等の場合は配点なし、評価が相手を上回った事業者には配点1が割り振られた。基準Aでは、第1基準と同じく基地局の予定人口カバー率で、両社配点なし。

基準Bでは、屋内エリア化や高速化技術の導入、電波の効率的利用が可能となる技術の導入の具体的な計画が審査の争点となった。ここでは、UQが「屋内エリア化対応」や「新幹線トンネル内エリア化」、「ハンドオーバー時の品質向上技術」、「アクセス制御技術導入」などの点がWCPよりも優れていると判断され、UQへ配点1となった。

基準Cでは、電気通信設備の安全・信頼性を確保するための対策に関する具体的な計画がより充実していることが審査基準となった。ここでは、WCPが、「基地局に備え付ける自家発電機への燃料運搬用タンクローリーの配備(4箇所)」などを根拠として、優れているとの評価を受け、配点1を受けた。

基準Dでは、「多数の者に対する電気通信役務の提供」や「電気通信設備の接続」、「その他の多様な方法による基地局の利用促進」などの具体的な計画が審査基準となった。この基準では、どちらもMVNOに対する柔軟なサービス提供形態や、MVNO事業者に対する説明会などの実施計画が十分だとして配点なしとなった。

続く基準Eでは、指定済み周波数幅に対する契約数の割合が審査基準となり、30MHz幅で408万契約を抱え、1MHzあたり13.6万契約のUQが、1MHzあたり6.1万契約のWCPを上回り、配点1となった。

基準Fは、指定済みの周波数における人口カバー率が大きい事業者に対して配点されるが、平成29年度末予定でUQが96.3%、WCPが95.7%となり、両社95%超であることから両社の申請は同等と評価され、配点なしであった。

最後の基準Gでは、指定済み周波数帯における基準B(屋内エリア化や高速化技術の導入、電波の効率的利用が可能となる技術の導入の具体的な計画)の審査となり、Bと同じ理由でUQに配点1となった。

以上の結果、UQコミュニケーションズが配点3、WCPが配点1となり、UQに対して2,625MHz~2,645MHz、20MHz幅の基地局開設認定がくだされた。

なお、UQの計画では、2013年10月より同帯域を利用したWiMAX Release 2.1 AE方式のサービス開始が予定されている。