キヤノンは7月2日、デジタル一眼レフカメラ「EOS 70D」の発表に合わせて、報道関係者向けに新製品発表会を開催した。
EOS 70Dは、2010年8月に発表された「EOS 60D」の後継モデル。ライブビュー撮影時でも高速なAFを可能にする新開発の「デュアルピクセルCMOS AF」が採用されている点が特徴となっており、同社の「EOS Kiss」シリーズをはじめとする一眼カメラ入門機からのステップアップや、本格的な撮影を楽しみたいというハイアマチュアユーザー向けに開発されている。キヤノン製デジタル一眼レフのフラッグシップモデル「EOS-1D X」や「EOS 5D Mark III」に搭載されているのと同じ画像処理エンジン「DIGIC 5+」や、最大で約7コマ/秒の連写機能を搭載。ライブビュー撮影時の快適さを備える一方で、ハイアマチュアユーザーの撮影ニーズにも応える性能となっている。
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ステップアップを望むユーザーのニーズに応えるカメラ
発表会ではまず、キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏が登壇。川崎社長は、コンパクトデジタルカメラやスマートフォンの普及を受けて「写真撮影を楽しむ人が増えることで、より良い写真を撮りたいというニーズが高まっている」と分析。加えて、ミラーレス一眼の普及などにより「今まで一眼レフカメラを使っていなかった人でも、一眼レフを使いたいと感じるユーザーが増えている」とした上で、「感動をより鮮明に残そうと思えば、一眼レフカメラへの移行を考える」とコメント。
実際にキヤノンマーケティングジャパンが行った調査でも、デジタル一眼レフを持っていないユーザーのうち、デジタル一眼レフカメラを「一年以内に購入したい」ないし「いずれ購入したい」というユーザーが33%だったのに対して、ミラーレスカメラを主に使用しているユーザーでは「一年以内に購入したい」「いずれ購入したい」を合わせると51%にも上ったという。一眼レフの購入を検討しているとの回答者が挙げた理由としては、日常の感動を記録したいなどが多かったとのことだ。そういった傾向を踏まえて、川崎社長は「写真撮影のステップアップをしたいというニーズに応えるカメラが、このEOS 70Dだ」と強調した。
続いて、キヤノン常務取締役イメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏が登壇。技術的な説明を行った。
今回新たに開発されたデュアルピクセルCMOS AFは、「EOS M」などで採用されたハイブリッドCMOS AFと同様に、撮像素子上に位相差AF用センサーが配置されたシステム。ただし、1つ1つの画素が独立した2つずつのフォトダイオードにより構成されており、それぞれが独立して光を取り込める。これにより、最終合焦まで撮像面位相差AFが可能となり、最終合焦をコントラストAFによっていた「EOS Kiss X7」の「ハイブリッドCMOS AF II」に比べて、約30%の高速化を実現したという。
イメージキャラクターには妻夫木聡さんを起用
EOS 70Dのコミュニケーションパートナー(イメージキャラクター)には、EOS Mに引き続き俳優の妻夫木聡さんが起用された。
EOS Mで「デジタルカメラに本格的に触れた」という妻夫木さんは、キヤノンが想定するステップアップユーザーにピッタリとのこと。発表会には妻夫木さん本人がゲストとして登場し、トークセッションが行われた。
EOS MのCM撮影で一緒になった写真家の上田義彦氏に刺激を受け、カメラにハマったという妻夫木さんは、「同じ位置で上田さんの後ろからこっそり真似して撮ってみたが、全く別の写真になってしまった」と、写真の奥深さを実感したという。同じ位置、同じアングルでも、撮り方によって出来上がりが違うと、しみじみコメント。しかし、上田氏と共同で個展を開催することになり、「撮る前は不安で仕方なかったが、被写体の前に行ったら無心で撮っていた」と、写真を撮ることが楽しくて仕方ないといった様子で語っていた。
一眼レフについての感想を問われると、「EOS MのCMで起用してもらったが、自分が一眼レフを持つ日が来るとは……」とコメント。しかし、「(ファインダーを)覗くという行為は魅力的で、ファインダーを通して覗いているのは(被写体の)心なんじゃないかと思う」と、ミラーレス一眼とは違う一眼レフならではの醍醐味を語った。
また、EOS 70Dを使っての撮影では、ホワイトバランスや露出の調整を頻繁に行ったとのことで、「自分が見ている世界観を表現することもできるし、リアルな表現もできる。細かな調整を行えるのは一眼レフならでは」と、ハイアマチュアユーザー向けのEOS 70Dならではの感想をコメントした。
最後に妻夫木さんは、「これから一眼レフに挑戦しようという人に手に取ってほしい」とEOS 70Dをアピールした。