午前10時50分頃から、株主の質問を受け付けた。

昨年の株主総会でV字回復をすると約束したわずか4カ月後に7,000億円規模の赤字へと修正を発表したことに対する経営責任を問う質問に対しては、津賀社長が回答。「会長、社長、役員の責任は重大である。役員全体の30%である14人が退任するほか、報酬は昨年の減額をベースにさらに最大50%を減額し、社用車を利用する役員を限定するなど、様々な責任の取り方を実施している。社長である私の責任は、業績を一日も早く回復させ、復配を遂げることであり、中期経営計画を確実に実行し、必達することである。そして、社会にお役立ちし、雇用できる会社へと改革していくことが、私が取るべき最大の責任である」と述べた。

パナソニックの元社員であるという株主からは、かつての社内計画は必達目標であったのに対して、過去2年の業績や過去2代の社長時代に中期経営計画が未達であったことについて、どう思うのかという質問が飛んだ。これに対しては、「我々が目指すのは、業績を回復させること、心配をかけずに済むような会社にしていくことだと認識している」などとした。

プラズマテレビ事業は縮小すべきか?

プラズマパネルの生産拠点閉鎖に関する質問については津賀社長が、「閉鎖を決定した2011年には、プラズマテレビは全体の60%の機種が赤字があるという状況だった。事業として伸ばしていくことができない、多くの損失を生むことになるという判断から、早期の生産縮小を決めた」と経緯を説明した。

また、パナソニックの相談役および特別顧問の役割については、「相談役は、必要に応じて社内、社外の活動に関して大所高所からアドバイスを得るものであり、特別顧問は対外活動を通じて支援をしてもらう。報酬は内規に照らし合わせて適切に支給している」と、中川能亨常務取締役が回答した。

現在のパナソニックには人を育てる姿勢が欠如しているとの指摘には、「人を大切にする会社であり続けたいという強い思いを持っている。産業構造が変わるなかで人の流動化も必要だろう。パナソニックは、これからも多くの仕事をつくり、多くの人を雇用する会社であり続けたい」と津賀社長が語った。

また技術系社員の退職により技術が流出することを懸念する指摘については、鹿島幾三郎専務取締役が回答。「重要な技術情報ではサーバーでの管理を徹底している。退職時に技術情報を持ち出さないことを誓約書として取り交わしている」などとした。

4月にオープンしたグランフロント大阪の同社ショールームに関しては、鍛冶舎巧専務役員が回答。「グランフロント大阪のショールームは開設からちょうど2カ月を迎えた。2カ月で100万人を超える実績となり、かつての京橋時代の年間来場者数を大きく超えた。新たなショールームでは、年間で400万人の来場が見込まれ、京橋での7年半の発信効果を1年で達成できるとみている。こうした関西へのお役立ちは重要であると考えている。ショールームの運営コストは、毎年10%の削減を行っており、4年前の60%のコストで運営している」と述べた。

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今後の配当政策はどうなるのか

復配の時期に関しては、「経営の先行きはわからない。復配はいつかということを、明言すれば嘘つきになる可能性がある。時期は明示できないが、復配は本年度の最優先事項として取り組んでいる」と津賀社長が回答した。

また、自転車事業について津賀社長は、「つい最近、自転車の事業部を訪問し、店頭ではヤマハの電動アシスト自転車と乗り比べてもみた。多くの方々に、電動アシスト自転車の良さを認識していただき、さらに価格を下げれば、日本でも、欧米でもブレイクする。積極的に伸ばしたい」などとした。

さらに、アビオニクス事業に関しては、宮部義幸常務取締役が回答。「アビオニクス事業では、全世界70カ所の拠点からメンテナンスサービスを提供している。これが他社の参入障壁になっている。また、飛行機のなかでの通信需要に対応した通信サービスへの展開があり、衛星の帯域を全世界で確保しているほか、新たにイリジウムの免許を取得したことで、小型ジェット機、ビジネスジェット機にも対応できるようになる」などと、安定的な事業成長について示した。

なお、第1号議案の資本準備金および利益準備金の額の減少の件、第2号議案の取締役17名選任の件はいずれも可決され、12時1分に閉会した。