アユートは5月11日、春のヘッドフォン祭2013の会場で、iriverのポータブルHi-Fiオーディオプレーヤー「Astell&Kern AK120」の発表イベントを開催した。

デュアルDACで、DSDにも対応するポータブルプレーヤー「Astell&Kern AK120」

AK120はアユートが5月9日に発表した製品。2012年に発表された「AK100」の上位モデルだ。発売は6月上旬。価格はオープンで、直販サイトでの価格は129,800円となっている。

まず、AK100何が違うのか、同社の営業部マーケティンググループの藤川氏に伺ってみた。「AK100とAK120とでは、ポジショニングがまったく異なります。AK100はコンシューマー向けのハイエンド機であったのに対して、AK120はプロリファレンス機を目指して開発した製品です」と藤川氏は説明する。

「機能面では、デュアルDACの搭載が最大の特徴です。Wolfson WM8740というDAC、これはAK100にも搭載していたのですが、AK100では1基だったものを、L(チャンネル)とR(チャンネル)に1基ずつ、計2基搭載しました」と藤川氏は製品特徴を強調。

AK120で再生可能な音楽ファイルのサンプリングレートは8~192kHzで、量子化ビット数は8/16/24bit。この点はAK100と変わらない。しかし、DACのデュアル化だけでなく、アナログ回路もそれにあわせて刷新されており、S/N比は113dB、クロストークは-128dB、THD-Nは0.0008%と向上しており(いずれも1kHz、0dB、24bit、48kHz、負荷なし)、ジッターも低減している。

また、AK100に比べて、利用できるメモリのサイズも増加している。藤川氏は「AK100では、内蔵メモリが32GB。そして32GBにまで対応したmicroSDカードスロットを2基備え、最大容量は96GBでしたが、AK120では内蔵メモリを64GBに増強しました。microSDカードスロットもそれぞれ64GBにまで対応しているため、合計のストレージサイズは最大で192GBになります」と述べる。ファイルサイズの大きくなるハイレゾ音源の再生では、ストレージサイズの拡大はうれしいところだ。また、従来は非対応だった、ギャップレス再生にも新たに対応している。

AK120は、192kHz/24bitのハイレゾ音源に対応したプレーヤーというだけではない。ヘッドフォン祭の会場で明らかにされたのが、DSDファイルの再生とUSB DAC機能の搭載だ。これらは、ファームウェアのアップデートで実現していくとのことだが、DSDファイルの種類、アップデートの時期や方法などの詳細については、現時点では明らかにされておらず、後日、発表するという。

対応するヘッドホンのインピーダンスは、従来の22Ωから3Ωに下げられている。もちろん、3Ωといった低インピーダンスのヘッドホンを接続するためではない。低インピーダンス化は「出力のインピーダンスを下げることで、音圧を上げるため」(藤川氏)とのことで、ロー出し/ハイ受けを実現するための仕様変更だ。

製品には、質感の高いイタリアンレザーのケースが付属する(左側)

電源はリチウムポリマーバッテリーで、容量は2,350mAh。約6.5時間の充電で、最長約14時間(FLAC/16bit/44.1kHz ボリューム 37, EQオフ, 画面オフ)の連続再生が可能だ。本体サイズは約W59.2×D14.4×H89.1mmと、AK100よりもわずかながら大型化している。重量は約144g。ハンドメイドされたイタリアンレザーのプレミアムケースが標準で付属する。

同社のブースには、先日発表された限定製品の「AK ミジンコシグネチャーミニラインケーブル」も出展していた

AK120はポータブルプレーヤーとしては非常に高価格帯の製品となるが、藤川氏によると、「反響は非常によい」とのことで、ブースは試聴を希望する来場者でかなり混雑していた。注目度は高いようだ。