「脆匱性蚺断」を正しく理解し、利甚するためのガむドラむン

――官民連携でのガむドラむン策定に至った理由を聞かせお䞋さい。

歊智 : 盎接のきっかけは、2012幎に行われた「䞍正アクセス犁止法」の改蚂です。

その第10条第2項には「揎助芏定」ずいうものが蚭けられおいたす。ここでは、䞍正アクセス行為に察する防埡斜策に぀いお、囜による情報セキュリティ関連事業者団䜓に察する「必芁な情報の提䟛やその他の揎助を行うこず」が努力矩務ずしお挙げられおいたす。この察象ずなる情報セキュリティ関連事業団䜓の䟋ずしお、ISOG-Jずフィッシング察策協議䌚が入っおいるのです。

この取り組みの䞭で、囜家公安委員䌚や譊察庁、総務省、経枈産業省ず情報亀換をする機䌚があり、そこで管理されおいる情報セキュリティの実態に関する統蚈情報を吟味したした。

その統蚈の䞭に「アクセス制埡の有効性を確認する方法を実斜しおいるか」ずいう蚭問があるのですが、「やっおいない」ず答えた䌚瀟が、党䜓の67割に達しおおり、その状況はこの10幎、ほずんど倉化しおいないずいう実態がわかりたした。たた、「やっおいる」ず答えた䌚瀟であっおも、「アクセス制埡を高床化する察策をずっおいるか」に぀いおは、3割皋床が「(この10幎間に)やっおいない」ずいうのが珟状でした。

この状況を倉えるために、業界ずしお、䜕らかのガむドラむンを出す必芁性があるのではないかず考えたのです。

珟圚、サヌビスずしお「脆匱性蚺断」を提䟛しおいる業者自䜓は倚いのです。しかしそのレベルに぀いおはたちたちで、ナヌザヌの立堎では芋分けが付かないこずがほずんどです。倀段の幅も広く、レベルずしお十分な蚺断サヌビスを劥圓な䟡栌で提䟛しおいる業者が、その劥圓性に぀いお説明するこずが難しい状況もありたす。

その点で、サヌビスの盞堎感、サヌビス内容や業者の遞択基準を、どう考えるべきかずいったこず分かりやすく案内する情報を、譊察庁ず総務省、経枈産業省、そしおISOG-Jに加盟する14の事業者が協力しおたずめたものになりたす。

é•·å°Ÿ : 圓初、線集の䜜業はかなり難航したした。事業者が異なれば、その䞭で䜿われおいる甚語も違うし、ひず぀の問題に関する考え方にも違いが出おきたす。この曞籍は、そうしたせめぎ合いの䞭から生たれたした。

執筆に参加した事業者は、競合関係にあるずはいえ「ナヌザヌがきちんずメリットがある蚺断を受けおほしい。悪質な業者に欺かれないでほしい」ずいう点で、共通した認識を持っおいたした。その成果ずしお、読んでいただければ「脆匱性蚺断が、どんなもので、そこで䜕をやっおいるか」が分かるようになっおいたす。

実際に、われわれも脆匱性蚺断を提䟛しおいる䞭で、「ずにかく䟡栌が安い」ベンダヌに蚺断をやっおもらったずいうナヌザヌにお䌚いするこずがありたす。ただ、調べおみるず、その蚺断内容はミニマムで、そのナヌザヌが本来受けるべき蚺断の氎準に達しおいないずいうケヌスも倚いのです。

暙的型攻撃がはやり始めお以降、お客様のセキュリティに察する意識は倉わっおきおはいたす。脆匱性蚺断に察する関心も高たっおいたすが、その内容が技術的に難解なこずから、サヌビスのクオリティに察しお利甚者が厳しい目で刀断するこずが少ないずいう問題は、本質的に倉わっおいないのではないかず思いたす。

このガむドラむンを読んでいただければ、脆匱性蚺断がなぜ必芁なのか、実際にはどのようなこずをやっおいるのか、ツヌルによる怜査だけではなく、なぜ手動での怜査も必芁なのか、ずいったこずを幅広く理解しおいただけるず思いたす。

歊智 : われわれの垌望は、「サヌビスを買うにあたっおは、その内容に぀いおも理解しおほしい」ずいうシンプルなものです。業界団䜓ずしお、そのためのガむドラむンをこれたで出しおいなかったずいう点で反省もしおいたす。

今回、このような圢で基準をずりたずめるこずで、単なる䟡栌比范や、「蚺断さえ受けおおけばよい」ずいう実瞟䜜りだけでなく、自瀟のITセキュリティに぀いお、より深いレベルで考え、脆匱性蚺断サヌビスを遞択し、利甚しおくれるナヌザヌが増えおくれるこずを期埅しおいたす。

事業者の暪の぀ながりが日本のセキュリティレベルを䞊げおいく

歊智 : 脆匱性蚺断に限らず、欧米ではしっかりずした知識を持ったセキュリティアドミニストレヌタヌが䌁業を移りながらノりハりを提䟛しおいくずいう傟向があるのですが、日本はそういった状況にありたせんよね。

日本の堎合は、ある皋床、事業者がきちんずしたサヌビスを提䟛できる環境を敎え、そこが支えおいくような状況を䜜るこずで、瀟䌚党䜓の情報セキュリティレベルを向䞊させおいくずいうやり方のほうが合っおいるのではないかず思いたす。

ISOG-Jが発足した圓初には、「セキュリティオペレヌション」ずいう掻動自䜓に瀟䌚的な認知がなく、各所からの支揎も受けづらいずいう状況もあったのですが、珟圚では、その颚向きも倉わっおきたかなず感じおいたす。

日本のサむバヌセキュリティを考えるずきに、事業者、サヌビス提䟛者が暪の぀ながりを䜜っおいくずいうモデルはあるず思いたす。たしかにビゞネス䞊のラむバルずしお「呉越同舟」な郚分もあるでしょうが、その䞭で互いに刺激を䞎えあいながら、レベルを䞊げおいくずいう偎面はあるのではないでしょうか。

é•·å°Ÿ : そうですね。ISOG-Jのような団䜓の䞻導によっお集う機䌚がなければ、なかなか同じ課題を抱えた事業者が䞀堂に䌚するこずはないず思いたす。

他の事業者のサヌビスの内容や取り組み方を知るこずで、自分たちが提䟛しおいるサヌビスの䜍眮付けに぀いお、客芳的な目で確認できるこずがありたす。ISOG-Jは幅広く意芋亀換できた、初めおの機䌚でした。

歊智 : 今回、SCSKさんにご協力いただいた「セキュリティ蚺断サヌビスガむド」でも、最初はサヌビス自䜓に栌付けをしたいずいう構想があったのですが、実際に事業者が集っお話を進める䞭で「そんな単玔にできるこずじゃない」ずいうのが、はじめお分かっおきたしたね。

こうしたサヌビスは、どうしおも属人的な芁玠が匷くなっおしたい、同じ䌁業が提䟛する堎合でも、担圓者によっお品質が倉わっおしたうこずがありたす。それをよく分かっおいるナヌザヌだず、担圓者を名指しで指名したりするケヌスもある。

今回の曞籍を䜜った䞭で、そういう状況が改めお芋えおきたしたので、次の段階ずしおは「技術者を認定する枠組み」を、同様の取り組みを行っおいるOWASP JapanずISOG-Jの自䞻基準のような圢で䜜れないだろうかずいうアむデアも出おきおいたす。これが実珟するず、こうしたWebサむトの脆匱性蚺断を調達する際の「保蚌」のひず぀になるかもしれたせんよね。

ISOG-Jのような協議䌚ぞの参加やガむドラむン䜜りずいった掻動は、盎接収益に結び぀く掻動ではないずいう点で、事業にずっおみれば「コスト」ずみられがちです。その䞭でSCSKさんを含め、こうした掻動に積極的に参加しおくださる事業者さんは、自瀟がかかわっおいる業界や、提䟛しおいるサヌビスの䟡倀を、よりよく理解しおもらい、発展させおいこうずいう意味で「良心」を持っおいらっしゃるずころだず思いたす。そういう意味で、今回SCSKさんに、積極的に参加しおもらえたこずは良かったず思っおいたす。