「Windows Blue」は各プラットフォームを対象にしたアップデートか?

Windows Phoneもさることながら、cnet.comに寄稿されたMary Jo Foley氏の記事も興味深い。「Microsoft job post gives more info about 'Windows Blue'」と題された記事を意訳すると「マイクロソフトは次期Windows OS「Blue」のための人材を募集」となる。この数日間、Microsoftの人材募集サイトで「Blue」の開発スタッフを募集していたそうだ。

リンクは既に消されているものの、募集していたのはWindows Sustained EngineeringのCore Experienceチーム。文字どおりWindows OSの継続的開発を行う部署で同チームは次期Windows OSに搭載するUI(ユーザーインターフェース)の中核を担当するという。今回募集したのは経験を持つテスト担当ソフトウェア開発技術者。前述の記事によると、スタート画面やアプリケーションのライフサイクルなどを対象とし、全体的なUX(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)の改善を目的としているという。つまり、Windows BlueはUIやUXに関わる部分の変更が盛り込まれることが、この情報から知り得られるのだ。

その一方でWindows Blueの Milestone 1(ビルド9319)が流出し、ネット上に転載されている。ここではリンクとして紹介するが、コマンドプロンプトに示されたバージョン番号は「6.3.9319」。この情報と先のスタッフ募集、ビルド番号の進捗状況などを踏まえると、Windows BlueがWindows 8 Service Pack 1としてではなく、次期Windows OSであるとするのが自然な考え方だ。なお、リンク先となるロシアのMicrosoftportal.netでは、ビルド9289と思われるスクリーンショットも公開している(図08)。

図08 Windows Blue Milestone 1のスクリーンショットを公開しているロシアのMicrosoftportal.net

さて、現行OSであるWindows 8のMilestone 1(6.2.7850)がリークされたのは、2011年4月10日前後である。ファイル名から察するにコンパイルされたのは2010年9月22日。Milestone 2(6.2.7955)のリークは同月20日後半と期間は短いが、コンパイル日は2011年2月28日。そして、Milestone 3(6.2.7989)は2011年6月中旬にリークしたものの、コンパイル日は2011年4月21日だ。先のリークされたスクリーンショットのバージョン情報ダイアログには、使用期限が2014年1月16日とある。Windows 8 M1の使用期限は2011年2月5日と定められており、Windows 8の正式リリース日は2012年8月16日であることを踏まえると、Windows Blueは順調に開発が進み、2013年秋前には手にできるという推論にも信ぴょう性が出てくるのではないだろうか。

この他にも興味深い内容が前述の記事には書かれている。Microsoftの人材募集には「Windows Phone Blue」という単語が残されていたそうだ。本稿で既に述べたように、Windows Phone 8はWindows 8と同じNTカーネルを採用しており、Windows Mobile時代より親和性が高まっている。Windows Blueが単に次期Windows OSというだけでなく、Windows Serverなども対象にするのであれば、Windows 9x系とWindows NT系のカーネル統合という20世紀終わりに行われたMicrosoftの戦略を思い出さずにいられない(最終的には、NT系カーネルを軸にWindows 9x系のUIをリフォームしたWindows XPがリリースされた)。

いずれの情報も公式発表ではないため、噂の域を出るものではない。しかし、Microsoftのスタッフ募集告知からは、Windows BlueがOSとしての根幹的な部分を含めたUIとその結果として得られるUXの改善を目指し、単なる次期Windows OSにとどまらない、ということが見えてきた。Windows 8がリリースされたばかりだが、読者の興味もWindows Blueに移行しつつあるのではないだろうか。同社の公式発表を一日千秋の気持ちで待ちつつ、今後も続報を紹介する。

阿久津良和(Cactus