複数のディスプレイを使うことをマルチディスプレイを使うなどと言ったりする。2台のディスプレイの場合はデュアルディスプレイと呼ぶ。当然、3つはトリプルディスプレイである。マルチディスプレイのサポートは、Windows 98の頃からあるが、当時はグラフィックカードの2枚挿しや専用の機器などを使うことが多かった。しかし、最近は、グラフィックカードが複数の出力ポートを持つようになり、ディスプレイさえ複数用意すれば、簡単に実現できるようになった。同様の効果は、3840×2160といった高解像度ディスプレイでも達成できるのだが、少々価格が高い。マルチディスプレイならば、普及品クラスのディスプレイで安価に構築できる。

図1 筆者のデュアルディスプレイ環境

マルチディスプレイのメリットはなんといっても、作業効率のアップである。一方のディスプレイで開発を行い、他方でデバッグを行うなどいった使い方もあるし、株取引などでも複数のディスプレイを使っている例を見たことがあるだろう。筆者の場合、仮想環境を使うことが多いので、一方のディスプレイにゲストOSを表示すると、あたかも2台のPCが動いている雰囲気になる。Windows 8では、マルチディスプレイの機能が強化されている。本稿では、Windows 8のマルチディスプレイの基本設定なども含め解説する。

メインディスプレイと位置の設定

複数のディスプレイを接続して、Windows 8を起動する。この時点で2つのディスプレイには、それぞれスタート画面とデスクトップ画面が表示される。まずは、マウスを動かして、ディスプレイ間の動きを確認しよう。ディスプレイの並びに合わせてマウスが動くかを確認する。設定は、デスクトップ画面で右クリックし[画面の解像度]を選ぶ(図2)。

図2 ディスプレイ表示の変更

[ディスプレイ表示の変更]には、1と2が付いたディスプレイのアイコンがある。これをドラッグして、左右の位置を変更する。ちなみに上下に配置することも可能である(図3)。

図3 ディスプレイを上下に配置

ノートPCなどと外部ディスプレイでマルチディスプレイを使う場合などで便利であろう。もし、解像度が異なる場合には、ディスプレイの配置位置も調整できる(図4)。

図4 ディスプレイの解像度が異なる場合

隣のディスプレイに移る際のマウスポインタの出現位置を設定する。天地の解像度が異なる場合には、上で揃えたほうが使いやすいだろう。そして、最後に、メインディスプレイの設定である。どのディスプレイがメインとなるかを設定するものだ。メインに指定されたディスプレイには、通知領域(IMEの状態や日付・時刻)などの情報が表示される。ちなみに向かって左のディスプレイをメインに設定したのが、図5である。

図5 メインディスプレイを左に設定

タスクバーを見比べてほしい。Windows 8では、メインディスプレイ以外にもタスクバーが表示されるようになった。7では、メインディスプレイにのみタスクバーが表示された(図1)。さらに以前のXPでは、オーバーレイなどはメインディスプレイでしか使えなかった。このあたりは、着実に進化してきているといえるだろう。また、マルチディスプレイ用のショートカットキーもいくつかある。まずは、Windows+Pで、スクリーンの表示モードの変更が可能である。

図6 表示モードの変更

4つのモードがあるが、一般的には[拡張]を使うことが多いだろう。一時的にマルチディスプレイを使いたくない場合などは、ここで設定を変更すればよい。また、スタート画面をどのディスプレイに表示するかは、Windows+PageUp/PageDownで行う。切り替わったスタート画面のディスプレイでは、Windowsキーによるデスクトップ画面との切り替えが可能となる。Windowsキーの効果は、スタート画面が表示できる1つのディスプレイにのみ働く。

覚えておきたい2つのポイント

さて、デュアルディスプレイで、左にスタート画面(こちらをメインディスプレイとする)、右にデスクトップを表示させてみた(図7)。

図7 左スタート画面、右にデスクトップ画面

Windows 8では、スタートとデスクトップの画面の切り替えが発生する。図7のようにすれば、Win 8アプリは左で、デスクトップで実行する旧来のアプリ(以降、旧アプリと記述)は右で実行し、切り替える必要がなくなるかもと思った。実際に、IEを起動すると、図8のようになる。

図8 Win 8アプリを起動

一見、大成功のように思えた。しかし、図7で、タイルから旧アプリを起動すると、両方ともデスクトップになってしまった!

図9 両方ともデスクトップに

これは、右のデスクトップ画面で旧アプリを起動しても、同じである。1つめの覚えておきたいことは「旧アプリを起動するとスタート画面はデスクトップに変わる」である。この理由は、旧アプリの起動がデスクトップのどこで行われるか、わからないからである。もし、スタート画面を表示しているディスプレイに表示されてしまったら、操作できない。そこで、いったん、すべての表示をデスクトップ表示にするのである。同様に、デスクトップで操作を行うと、スタート画面が表示されていた場合、デスクトップ画面となる。

もう1つが、「スタート画面やWin 8アプリは1つのディスプレイにしか表示できない」である。もし、一方のディスプレイでスタート画面を表示していて、他方の画面をスタート画面に切り替えると、最初のスタート画面はデスクトップに切り替わる。そして、Win 8アプリを実行中にマウスを画面上部に移動すると、ポインタが手になり、画面全体が縮小表示される。この状態で、他のディスプレイにアプリをドラッグして移動できる。

図10 マウスポインタが手になり、画面も縮小