神奈川パシフィコ横浜で開催された「CP+ 2013」。カシオブース受付の横に設置されていた、不思議なデジタルサイネージに気付かれただろうか。

薄い樹脂プレートに描かれた、同社のデジタルカメラ「EXILIM」のイラスト。そのレンズ部分には目と口があり、瞬きをしつつ口をパクパクと動かしながら、EXILIMの特徴を音声で紹介している。横から見ると単なる薄いプレートでしかないのに、一体どうなってるの? とプレートの裏側を覗き込んでみる。と、台座の部分にプロジェクターが仕込まれており、その映像をキャラクターの形に切り抜いたプレートへ投映しているようだ。なるほど!

一枚の静止画からカシオが生成する。今回のキャラクターはCP+向けの新作だが、既にあるキャラクターをアニメショーン化することも容易だ

キャラクターの下部にはボタンのイラストがある。そこに指で触れてみると…。なんと、紹介内容が変わったではないか! このプレートは、まさか、タッチ式!?

「プレートそのものにはタッチ機能はありません。台座側にセンサーが仕込まれていて、プレートに映されているボタンに触れると、センサーが検出する仕組みです」

種明かしをしてくれたのは、カシオ計算機広報部の廣瀬孝一郎氏。

各ボタンの下部(台座部分)にセンサーがあり、どのボタンを指されたかを検出している

投映の仕組みが良くわかるショット。ランプ交換が不要なハイブリッド光源を採用しており、光源の寿命は驚きの約20,000時間!

――これが昨年発表された「カシオサイネージ」の実機なんですね。初めて見ましたが、面白いですね。

「昨年11月26日の報道発表以来、店舗経営者だけでなく幅広い方々から実物を見たいというご要望をいただきまして…。そこで、1/29~1/30に開催された「イベントJAPAN」を皮切りに、国内展示会へも積極的に出展していくことにしました。CP+での展示も、その一環です。

カシオサイネージを導入いただくのは店舗や施設ですが、それを実際に目にされるのはお客様ですよね。そこで、CP+に出品することで、一般の方々の反応を確認させていただきたいというのが、大きな狙いです」(廣瀬氏)

―カシオみずからがカシオサイネージを利用してみせることで、販促ツールとしての用途を実証するということですね。

「そうです。カシオサイネージならではの優れたアテンション効果を実感していただくには、実機をご覧いただくのが一番ですから。実際にご覧になった方からも、浮遊感や良い意味での違和感があって、思わず引き寄せられるという声をいただいています」(廣瀬氏)

アジア向けプロダクツのデジタルカメラ、TRシリーズの展示コーナーにもカシオサイネージが設置されている

多言語対応が容易なので、こういった海外向けプロダクツには最適といえる

筆者もまた独特の存在感に思わず見入ってしまったのは、冒頭に書いたとおりだ。そしてさらに驚いたのが、キャラクターボイスが声優によるものではなく、テキスト文を音声化技術で読み上げているという点。そのあまりにも自然なイントネーションから、人間の声を録音したものと完全に思い込んでいたが…。これはすごい!

音声化技術の大きな利点は、多カ国語対応が容易な点にあるという。実際、日本語のほか英語、中国語、韓国語、スペイン語に対応している。実はCP+のカシオブースには、主に中国で販売されているEXILIM(EX-TRシリーズ)の展示コーナーにもう1台、カシオサイネージを設置していたのだが、こちらはプレート下部のボタンで音声の言語が切り替えられるようになっていた。

非常にユニークなカシオサイネージは、今回の隠れた見どころのひとつだったかも。