「一歩上ゆくデジカメ活用術」バックナンバー
第1回 イルミネーションを利用してボケのある夜景写真を撮る
寒さが厳しい冬本番を迎え、つい外出がおっくうになりがちです。しかし、冬だからこそ見栄えがする被写体も数多くあります。今回はそんな被写体のひとつ、冬場の低い太陽が作り出す「逆光」と、逆光によって生じる「シルエット」を狙ってみましょう。
絞り優先AE(F6.3 1/500秒) 露出補正:+0.3 感度:ISO100 WB:日陰 カメラ:「NEX-7」 レンズ:「E 55-210mm F4.5-6.3」(写真をクリックすると拡大します) |
観光地などで記念写真を撮る際は、被写体に対して後ろから光が当たる「逆光」を避け、被写体の正面から光が当たる「順光」の条件で撮ることが、一般的に推奨されます。逆光のシーンをフルオートで撮影すると、肝心の人物が暗く写ってしまうことが多いからです。
しかし、写真の狙いによっては、人物が暗く写ったほうが好都合なケースもあります。下の3枚の写真は、逆光線によってキラキラと輝く海辺で撮影したもの。人物は影絵のように輪郭のみの存在になり、その表情や服装は判別できません。実際には、いちばん上のカットは厳しいトレーニング中の様子ですが、こうしてシルエットとして捉えると、楽しく踊っているようにも見えます。何もかもをはっきりと写すのではなく、あえて細部の情報を消し、見る人に解釈や想像の余地を与えてくれることが逆光写真の面白さです。
プログラムAE(F5.6 1/4000秒) 露出補正:±0 感度:ISO100 WB:晴天 カメラ:「Nikon 1 V1」 レンズ:「AF-S DX NIKKOR 18-105mm f/3.5-5.6G ED VR」(写真をクリックすると拡大します) |
絞り優先AE(F8 1/4000秒) 露出補正:±0 感度:ISO250 WB:晴天 カメラ:「EOS 60D」 レンズ:「EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM」(写真をクリックすると拡大します) |
逆光から生まれる「影」にも注目してみましょう。冬場は太陽の位置が低いため、昼間でも影がとても長くなります。そんな長い影にポイントを絞って被写体を探し、影を中心にして構図を決めるのです。下の写真では、人物の膝から上を大胆にカットし、影を主役にして画面内に大きく捉えてみました。
影の写真を撮る際は、影そのものだけでなく、影が差す場所や地面にこだわることが大切です。下の写真では影の背景として、落ち葉で埋め尽くされた地面や整然と配置された石畳を選択しました。落ち葉や石畳はそれだけでも画になりますが、そこに人の影が加わることで、画面に変化と奥行きが生じ、より印象の強い写真に仕上がります。
絞り優先AE(F2.8 1/2000秒) 露出補正:-0.3 感度:ISO100 WB:日陰 カメラ:「NEX-7」 レンズ:「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」(写真をクリックすると拡大します) |
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