ファイルメーカーは28日より、「FileMaker Pro」「FileMaker Go」といった同社製品の最新情報を共有し、ソリューションを紹介する総合イベント「FileMaker カンファレンス 2012」を開催している。

29日にはオープニングセッションとして、同社社長のビル・エプリング氏、このイベントのために来日した米FileMaker Inc.のプロダクトマネジメント シニア プロダクトマネージャー FileMaker Pro担当のエリック・ジェイコブソン氏らが登壇し、同社のビジネス・製品の最新情報を紹介した。

FileMakerエコシステムは日本市場でさらに充実

ファイルメーカー株式会社社長のビル・エプリング氏。米FileMaker, Inc.のシニア・バイス・プレジデントと最高財務責任者も兼務する

エプリング氏は、主にFileMakerソリューションの全体的な状況および利点について紹介。同氏によれば、現在、日経平均の255社のうち184社がFileMakerのソリューションを採用しているという。また、日本市場はFileMakerのワールドワイドの売り上げの約1/4にあたるといい、「開発チームも日本のニーズを製品に反映することに少なからぬリソースを割いている」と強調した。

日経平均株価の対象企業225社のうち、7割以上の188社がFileMakerソリューションを活用しているという

全世界の市場に占める日本の割合。1カ国で、北米・南米およびヨーロッパ全体に次ぐ約25%を占めている

日本市場向けのビジネス展開に関しては、FileMakerのトータルエコシステム全体が日本語化され、日本からアクセスできるように展開されていることも改めて紹介。具体的に挙げられたのは、35,000以上のデベロッパー、認定トレーナーによるトレーニングコース、多数開催されるビジネスセミナーやワークショップ、全国の36都道府県をカバーしているFileMaker business Alliance(FBA)メンバーによるコンサルティングなど。FBAについては、今後47都道府県すべてをカバーできるよう、さらに拡大を進めていくとした。

日本でのFileMakerエコシステムの充実ぶりを強調。FBAのメンバー企業はこの2年の間に倍増しているという

米FileMaker Inc.のプロダクトマネジメント シニア プロダクトマネージャー FileMaker Pro担当のエリック・ジェイコブソン氏

続いて登壇したジェイコブソン氏は、FileMaker 12の特徴を改めて簡単に解説しながら、実際にその機能を利用して実現された実現されたさまざまなソリューションを紹介した。紹介されたソリューションは多岐にわたり、デスクトップの「FileMaker Pro」向けのソリューションだけでなく、iOSデバイス上の「FileMaker Go」向けのソリューションが多数。両者の連携ソリューションも紹介された。

ジェイコブソン氏は具体的なソリューションのデモンストレーションを交えながら、FileMaker 12の機能をあらためて紹介

ジェイコブソン氏の話の中でとくに強調されたのがデザインについて。「動詞としてのデザイン」という表現で、生産性向上のためのデザインの重要性を説いた

両氏のプレゼンテーションを通じ、繰り返し言及されたのが「iOS向けのビジネスソリューションをもっとも簡単に開発できる」というFileMakerのアドバンテージ。エプリング氏は「iOSデバイスの普及はFileMakerのビジネスにとって大きなチャンスになった」とも語っており、無料の「FileMaker Go」によるiOS向けビジネスソリューションを契機としてFileMakerソリューションの普及を図るというのが現在の同社のスタンスのようだ。

オープニングセッションでは全体的に、「iOS向けビジネスソリューションの開発プラットフォームとしてのFileMaker」という点を強調しているように感じられた

ショウケースには多数のFileMakerソリューションを展示

今回の「FileMaker カンファレンス 2012」は3日間の開催となっており、30日もさまざまなトラック(講演)が予定されている。すでに事前登録は終了しているが、登録に間に合わなかった人でも名刺持参でカンファレンス会場へ直接来場すれば入場可能なようだ。

また、一部のトラックはUSTREAMニコニコ動画を通じてその模様が中継される。興味があればこちらも利用されたい。

会場では、各トラックのほかにショウケースとして、FileMaker関連製品・サービスを開発・販売するFileMaker Business Allianceのメンバー企業を中心に、さまざまなFileMakerソリューションが展示されている。とくに今回はFileMaker Goを利用するiPhone/iPad向けのソリューションが多数出展されているので、iOSデバイスのビジネス活用を検討しているならこのショウケースが導入のヒントとなるかもしれない。

オネストが出展していたのは医療機関向けの総合支援システム。電子カルテの診断情報の管理だけでなく、診察の予約状況確認や勤怠管理なども統合されている

マジェスティックはFileMakerデータベースにHTML5ベースのリッチコンテンツを導入するデモンストレーションを行なっていた

ウィズダムは図書館向けの図書情報管理ソリューションを展示。ベースになるシステムは新潟県立大学への導入実績があり、展示されていたのはそれにFileMaker Goを組み込んだものだという

FileMaker関連のパッケージ開発からトレーニング・サポートまでを手がけるパットシステムソリューションズでは、同社開発の外部関数プラグインなどをデモンストレーション

FileMakerが動作するサーバーのホスティングサービスを紹介していたのはエミック。サーバーの維持管理をアウトソースし、データベース管理だけに集中できるのがユーザー企業としてのメリットになる。FileMaker 12だけでなく、FileMaker 11にも対応できるとのこと

アライドテレシスはVPNを実現できるルーター製品を紹介。VPNを構築することにより、iPad/iPhoneといったモバイルiOSデバイスのFileMaker Goで社内のFileMakerデータベースとデータを即時に共有できる

なお、マイナビニュースではこの「FileMaker カンファレンス 2012」の開催にあたり、エプリング社長に直接インタビューする時間を持つことができた。インタビュー記事は後日の掲載となるが、FileMakerソリューションの現状を同社がどのようにとらえているのか、興味がある方はぜひ楽しみにしていただきたい。