使い方に正解はない - 利用シーンを明確に想定したものづくり

STYLISTIC QH77/Jの背面。CPUが内蔵されているタブレット(ディスプレイ部)側にCore i5のシールが貼られている

個人向け製品として販売されているSTYLISTIC QH77/Jであるが、実は法人向けを強く意識した製品づくりとなっている点も特徴だといえる。

CPUにCore i5-3427U(1.80GHz)を搭載したのも、法人向けタブレットPCとして求められる性能を実現することを目指したものだ。

「タブレットだから性能が劣るというロジックは通用しない。タブレット単体で動作させた場合にも、Officeが動作するメインマシンとして利用できる性能を求めた」(日置氏)。

さらに、USB 3.0およびUSB 2.0、SDカードスロット、指紋センサーのほか、前面に92万画素、背面には500万画素Webカメラを搭載。IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、HDMI出力も搭載するなど、様々な利用シーンを想定したインタフェースを搭載。また、キーボード部には、USB 2.0を2基のほか、有線LANポート、VGAポートを搭載しており、これらも法人市場を意識したものとなっている。

背面の500万画素Webカメラ

タブレット(ディスプレイ部)側に多くの端子類が搭載されている

日置氏は、「法人での利用を想定した場合、有線LANポート、VGAポートは不可欠。どうしても搭載したかった」と語る。そして、キーボードも1.7mmのキーストロークを確保。これもキーボードの利用を重視する企業ユースを想定したものとした。

法人向けのカスタムメイドモデルでは、タブレット単体だけの販売も可能。その際には、キーボード部はオプションとして提供され、商品選択の幅も広げられた。

さらに、見逃せないのは、単にタッチ操作だけではなく、デジタイザーペンによる、ペン操作にも対応したことだ。これも長年に渡る法人需要のノウハウを活用したものであり、教育分野やヘルスケア、生保などといった業種での利用シーンを想定。細かな部分の入力や、立ったままスムーズな入力を行いたいという場合にも適している。ペンはキーボード部に内蔵できるほか、タブレット本体にはストラップで付属できるようにしている。

今回の製品開発に当たって、日置氏は、利用シーンの提案に重きを置いたという。

2年ほど前までは携帯電話の商品企画に携わっていた日置氏。携帯電話は法人向けの製品が少なく、まず個人ユーザーの利用シーンを意識して製品が作られるという

「従来のPCは、過去の製品の拡張という観点での企画が多かった。だが、タブレットPCは、利用シーンの提案が必要であり、まだまだ開拓していかなくてはならない領域でもある。正解といえる1つの使い方があるわけでもない」と前置きし、「そうした中でも、どんな活用ができるのかといった観点から利用シーンを想定したからこそ、ひとつの方向性を打ち出すことができた。タブレット本体を軽く、薄くするということに徹底してこだわることができたのも、そうした利用シーンを想定したため」と振り返る。

日置氏は、2年ほど前まで携帯電話の商品企画に携わっていた。携帯電話の商品企画の手法は、機能拡張よりも、利用シーン前提というケースが多いという。そうした手法も今回の製品づくりのなかには生かされていると言えそうだ。