いざ"停電"発生! そのときPCは……

これでひと通りの設定は済んだはずだ。なので、いよいよ停電時の動作を検証することとしよう。といっても、そう都合よく停電など起きるわけもないので(もちろん起きてもらっては困るが)、ここでは極めて原始的にUPSに接続されている延長コードの電源プラグを引き抜いてしまうことで人工的な停電イベントを発生させることとする。

言うまでもないことだが、PCやサーバはもちろん、ほぼすべてのコンピュータ機器の稼働中にいきなり電源コードを抜くというのは極めて危険な行為だ。非常に高い確率でトラブルになるのでくれぐれも真似はしないようにして欲しい。筆者も「UPSが接続されているから大丈夫」とアタマではわかっていても、いざ延長ケーブルの電源プラグを引き抜くときにはかなり緊張した。

さて、"停電"が発生すると、間もなくしてUPSからは「ピーピーピーピー」というアラート音が鳴り響き、電源に異常が生じたことを伝える。コンソールの画面にも、電源障害が発生した旨の警告が出ている(画面4)。先ほどのインストール時に電子メールの設定を行っていれば、そちらにも通知が行っているはずであるが、今回は設定しなかった。

画面4 : 電源障害の発生を警告する画面

やがてPCが自動的にシャットダウンに移り、正常に停止した。PCが無事に停止したのを見届けた後に、再び延長コードの電源プラグをコンセントへと差し込む。停電からの電気の復旧だ。PC起動後にコンソールを立ち上げると、正常運転に戻ったことがわかる。

設定完了まで30分、UPS初心者でも導入は容易

一連の作業を振り返ると、UPSを設置してインストール、設定完了まで、ものの30分もかかっていない。筆者のようなまったくの"UPS初心者"であってもこれほど容易かつ短時間で、電源障害時にコンピュータ機器を安全に保護するための対策を行うことができるのである。

他にも、PowerChuteを使えば電源イベント発生状況を表示したり、電源イベントの分析を行ったりすることも可能である。また、現在のUPSのリスクレベルについてのアセスメントも自動的に行ってくれるので、何か異常が生じたとしても早期の対処が可能だ(画面5)。

画面5 : リスクアセスメント画面

さらに、エージェントがインストールされた機器ごとのエネルギー使用量も把握することができる。ここでは、電力コストに関しても◯◯円という具体的な値で表示される。そのため、消費電力に無駄のある機器を特定したり、電力の利用状況を改善したりすることで、電力コストの低減にも寄与するはずだ。

画面6 : エネルギー使用量の表示画面。具体的な電力コストまで把握することができる

シュナイダーエレクトリック ビジネスデベロップメント HBNビジネスデベロップメントのマネージャー、神谷誠氏は、「UPSを設置する際にはアースに接続する点にさえ留意していただければ、小さなオフィスであってもすぐに作業が終了してしまうことだろう。設定についても、初めての方でも簡単に行えるよう配慮している」と話す。

実際、筆者もマニュアルと格闘することなく、ほぼ画面やメニューを見るだけで直感的に設定を終えることができた。

ここまで読んでいただければ、Smart-UPSであればUPSの導入は決してハードルの高いものではないことがおわかりいただけたのではないだろうか。しかも、停電に対する備えとしてだけではなく、電力コストの効率化にも寄与する同製品は、前向きな投資として導入することも可能だ。ぜひUPS未導入の企業はぜひとも検討してほしい。