SSDは、機械的に動作する部分を持つHDDと異なり、純粋に電気的に動作するため、HDDに比べて高速かつ消費電力が低く、衝撃にも強いという利点がある。性能に不満が出てきたPCでもストレージをHDDからSSDに換装することで、パフォーマンスや体感速度が大きく向上し、最新PCに生まれ変わったような感覚で利用できる。SSDはこれまで、主にPCに詳しいアーリーアダプタ層を中心に売れていたが、SSDの利便性が広く知られるようになり、さらに初心者でも買いやすいリテールパッケージが登場したことで、PCマニア以外のコモディティ層にも普及が進みつつある。

そのSSDも各社から多くの製品が発売されているが、中でも性能と信頼性の高さで人気を集めているのが、サムスンの「Samsung SSD 830」シリーズだ。ノートPCの内蔵HDDをSamsung SSD 830へ換装する手順やそれによるパフォーマンス向上に関しては、以下の別記事を参考にしてもらいたいが、Samsung SSD 830の性能や信頼性の高さがよく分かる。

SSDのススメ - 数年前のノートPCを最新レベルの体感速度へ甦らせる
MacBook Proの内蔵HDDをSSDに交換する(後編) - 起動時間は半分以下! ディスク性能は最大で約100倍超!!
MacBook Proの内蔵HDDをSSDに交換する(前編)

「Samsung SSD 830」シリーズ。64GB/128GB/256GB/512GBをラインナップし、それぞれデスクトップPCキット、ノートPC用キット、ベーシックキットを用意(ノートPC用キットは128GB/256GB/512GBの3モデル)。キットの詳細は後述

ここでは、日本サムスン DS事業部 メモリー営業チーム次長の岡田圭介氏と、サムスン製SSDの国内販売を担当するITGマーケティングの代表取締役社長、田中道郎氏にインタビューすることができたので、Samsung SSD 830の特徴や今後の展開などをお訊きしてみた。

6月中旬以降、BCNランキングで売れ行き2位をキープ

日本サムスンの岡田氏(写真右)、ITGマーケティングの田中氏(写真左)

Samsung SSD 830は、海外では2011年11月に発売されたが、ITGマーケティング株式会社による国内正規品の販売が開始されたのは2012年4月である。日本での正規販売が始まって数ヶ月だが、その売れ行きについて訪ねてみた。

―― Samsung SSD 830が日本で発売開始されて、数ヶ月経ちましたが、売れ行きはいかがでしょうか?

岡田氏「日本の店頭展開は、2012年の4月中旬からでしたが、BCN製品別ランキングでは6月中旬くらいから2位をキープしています。ベンダーランキングの1位はインテルさんですが、サムスンも3位に入りました。サムスンは、グローバルブランドで、日本でもGalaxyで知名度が上がっていますが、当初はSSDでも日本市場に受け入れられるかどうか心配していました。

しかし、ITGマーケティングをはじめ、我々も一所懸命プロモーションをし、スペックだけではなく、サポートも重視したところが受け入れられたのだと思います。そういうスペックには現れない安心感がありますので、発売後急激に売れ行きを伸ばし、1カ月ちょっとで2位まで来ました。もちろん、2位で満足しているわけではありませんが、実際、売れ筋を見てみますと、やはり売れ行きの上位製品は信頼できるメーカーのブランド品になっていますので、我々の施策の方向性は間違っていなかったと確信しています」

―― 高品質で、製品サポートが充実していることも魅力ですね。

岡田氏「日本のお客様は世界でもっとも品質に関して厳しい目をお持ちですので、やや心配していたのですが、販売開始からして数カ月、驚くほど不良率も低く、特に大きなトラブルもなく、まったくの杞憂に終わりました。ショップの店員さんからも『非常に手離れがいい製品』とお墨付きをもらっています、我々は、製品の品質でもスペックでも自信を持っていますので、日本にローカライズしたサポートやサービスが伴えば、おのずと認めていただけるとは思っておりました」

店頭用のSamsung SSD 830展示キット。以前はこうしたキットがなく、新しく制作したところ、販売店から非常に喜ばれたという

岡田氏「サポートは、日本人のベテランオペレーターによる専用ラインを設けて、すべて日本国内で行っております。SSDでここまでのサポート体制をとっているところはあまりないと思います。コールセンターが海外にあるとか、もしくはメールしか受け付けないとかが一般的ですね。もちろん、カタログやマニュアルもすべて日本語対応にしましたし、今回『Samsung SSD Online』という専用Webサイトも立ち上げて、サムスンのSSDに対するこだわりや、世界中のメディアのレビュー、動画、用途提案などの情報を発信しています」

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