愛好家層を中心に人気のコンパクトデジカメ、シグマ「DP」シリーズの最新モデル「DP2 Merrill」が7月に発売された。注目は、同社の一眼レフ機「SD1 Merrill」と同じ有効4,600万画素の「Foveon X3ダイレクトイメージセンサー」を搭載したこと。その描写力や機能性、操作性はどうなのか。実写を交えたレビューをお伝えしよう。

「DP2 Merrill」

無駄のないシンプルなデザイン

そもそも「DP」シリーズには、広角レンズを搭載した「DP1」の系列と、標準レンズを搭載した「DP2」の系列の2ラインがあるが、今回登場した「DP2 Merrill」は後者の4代目となる製品だ。従来はほぼ共通だったボディデザインを一新したほか、レンズやセンサー、液晶モニターなどの主要な部材もすべてリニューアルしている。

まずは外観から見てみよう。ボディは、フラットな長方形をベースにして、レンズ部分のみが突き出た箱形のスタイルとなる。やや素っ気ない印象を受けるが、シンプルで飽きの来ないデザインともいえる。外装はフルブラックの金属製。グリップと呼べるものがなく、ホールド性は十分とはいえないが、構えたときのバランスは悪くない。

従来モデルとの大きな違いは、中央付近にあったレンズの位置が、やや端に寄ったこと。レンズは沈胴式から固定式に改良され、鏡胴部にはフォーカスリングを新装備する。さらに、天面のモードダイヤルはモードボタンに変更され、その横には新たにコマンドダイヤルを搭載する。

ストロボは内蔵せず、天面に外部ストロボ用のホットシューを装備する

新設計の単焦点レンズを搭載。レンズキャップは着脱式のものが付属する

ボディ天面の電源ボタンを押すと素早く起動し、液晶モニターが表示される。液晶モニターは、前モデル「DP2x」の2.5型/約23万ドットから、「DP2 Merrill」では3.0型/約92万ドットにスペックアップした。晴れた日の屋外では見えにくくなるものの、全般的に視認性は向上している。

天面には、電源ボタンのほか、モードボタン、コマンドダイヤルを備える

45mm相当の標準単焦点レンズを搭載

レンズには、35mm判換算で約45mm相当の焦点距離を持つ単焦点レンズを搭載する。遠近感を誇張せず、被写体に対して適度な距離感を保ちながら、見た目に近い自然な描写を得やすい焦点距離といえる。部分を切り取るような感覚でスナップを撮ったり、被写体に話しかけながら近距離で撮るポートレートなどにも役立つだろう。

35mm判換算で45mm相当の新レンズ。レンズ構成は6群8枚で、絞り羽根は9枚

自由度や利便性という意味では、一般的なコンパクトデジカメが採用するズームレンズに見劣りするが、そのことが弱点というわけではない。45mm相当という焦点距離を把握して使いこなすこと自体が本モデルの狙いであり、いちばんの面白さである。

レンズの開放値はF2.8。欲を言えば、もう1段明るければなお良かったが、サイズや重量とのバランスを考慮して、この値になったのだろう。最短撮影距離は28cm。特に接写に強いとはいえないが、オプションのクローズアップレンズを装着することで撮影倍率を高めることは可能だ。

電源はリチウムイオン充電池。撮影可能枚数は約97枚とやや物足りない。電池は2個付属する

液晶モニターの横には、AEロックボタンやQSボタン、メニューボタンなどを備える