iCloud Storageのキャッシュ領域

Document in the Cloudで使用される領域(iCloud Storage)は、アプリケーションごとに確保される。Appleが運営するクラウドスペースの話であり、利用に際しては事前にアプリケーションの登録が必要になる。具体的には、Mac Developer Programの会員になり、アプリケーションIDや開発者証明書を登録したうえで、開発ツール(Xcode)を使いセットアップするなど、必要な手続きを踏まなければならない。すべてのアプリケーションが無条件でiCloud Storageを利用できるわけではないのだ。

このiCloud Storage、名前こそストレージだが、一般的なオンラインストレージとはかなり異質だ。基本的に、FinderからiCloud Storage上の内容にはアクセスできず、iDiskのようにファイルシステムにマウントされることもない。

ただし、iCloud Storage上のファイルはローカルにキャッシュされるしくみがある。このキャッシュ領域をFinderやTerminalを使って操作すれば、システムに常駐するプロセス(デーモン)によりiCloudとの同期処理が自動実行され、iCloud Storage上のファイルを直接操作したことと同じ結果が得られる。

この同期機構はLion時代から存在したが、その利用は一部のサードパーティー製品に限定され、OS X標準装備のアプリケーションで対応するものがなかった。それがMountain Lionからは、テキストエディットやプレビューなど数こそ少ないが、正式に対応するようになったのだ。

Finderの挙動も変更された。Lionのときは、iCloud Storageと連動したキャッシュ領域(~/Library/Mobile Documents)は一般的なフォルダとして表示されていたが、Mountain Lionではパス部分が「iCloud」と表示されるようになった。~ / Library / Mobile Documentsを隠ぺいする一種のメタファーだが、この領域がiCloudとつながっていることをFinderレベルで認識しているともいえる。

Mountain LionのFinderで「~ / Library / Mobile Documents」を開いたところ、フォルダ名が自動的に「iCloud」に変わった

LionのFinderで「~ / Library / Mobile Documents」を開いたところ。フォルダ名に変化は見られない

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