パナソニックは、メンズシェーバー「ラムダッシュ」の生産拠点である彦根工場の内部を公開した。
滋賀県彦根市にある彦根工場は、1962年に操業開始し、今年50周年を迎えるメンズシェーバーのマザー工場。甲子園球場2個分にあたる8万8,990平方メートルの敷地に1,015人が勤務する、同工場の様子を紹介しよう。
1962年に操業開始、現在は高付加価値製品の生産に注力
パナソニックの電気シェーバーは、1955年の第1号機発売以来、世界初の防水式製品やリニアモーター搭載製品を開発。2012年度までに1億8,000万台を出荷する見込みだ。彦根工場では、そのうちの上位モデルとなる「ラムダッシュ」シリーズを生産。普及モデルは、中国・広州の万宝APビューティ・リビング広州で生産を行っている。
彦根工場は、1962年に彦根市の工場誘致の第1号として、松下電工(当時)が設立した生産拠点。1995年には中国・広州の海外生産拠点立ち上げとともに存続の危機に瀕したこともあるが、議論を繰り返した結果、「刃」「リニアモーター」などの日本の技術を結集した高付加価値製品の生産を彦根に集中することになった。
1966年の彦根工場の様子 |
1985年にはメンズシェーバー30周年を迎えた。この時点で累計5,000万台を出荷 |
1998年当時のリニアモーター組立ライン |
現在は「MADE IN 彦根」のロゴマークで展開している |
同工場で生産するシェーバーでは、摩擦に強いステンレス刃物鋼を鍛え抜いた鍛造刃を使用した「30°鋭角ナノエッジ刃」や、1分間に約1万4,000ストロークという「リニアモーター駆動」を実現。生産工程では、ヘッドブロックの取り付けや制御回路、電池の組み入れ、仕上げ検査を手作業で実施する一方、2009年からは刃の生産自動化を実現。さらにリニアモーターの生産自動化、ヘッドブロックの自動組み立てにも成功し、自動化率は75%に達しているという。
また、自動生産とセル生産を組み合わせたハイブリッド・セル生産を採用することで、販売の増減や生産計画にあわせた素早い対応を実現。在庫負担も大幅に減らすことができるという。
金型の微細な部分を削るエンドミルを自前で製造。ここに彦根生産の強みがある |
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完成したエンドミル |
エンドミルを使って金型を作る。金型は約1~1.5年間使用。金型の製作には3カ月かかる |
金型の組立作業 |
金型の精密仕上げ作業 |
金型の成形条件を最適化する作業 |
生産設備の精度検証 |
※8月6日注記:数字情報に発言の訂正があったためキャプションの一部を修正いたしました。 |
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