キヤノンは7月23日、ミラーレスタイプのレンズ交換式デジタルカメラ「EOS M」の発表に合わせ、報道関係者向けに発表会を開催した。

EOS Mはキヤノンが満を持して投入する、同社初となるミラーレスタイプのレンズ交換式カメラ。APS-Cサイズの大型CMOSセンサーを搭載しながらも圧倒的なコンパクトさを実現した点や、ミラーレス一眼ながら新開発AFの採用による快適なレスポンスが特徴だ。

発表会に登壇したキヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏は、「かつてに比べて、写真を撮る機会というのは増えている」と、従来よりカメラが身近になっている昨今の状況を説明。年に数十万台レベルでミラーレスカメラの市場が拡大している事例を出し、「ミラーレスカメラの伸長は、日常の中でもっと良い写真を撮りたいというニーズが根底にある」と分析。EOS Mをリリースする意義について、「『EOS Kiss』ではカバーしきれなかったユーザーを捉えることで、市場を拡大させたい」と述べた。

具体的には、従来の「EOS Kiss」シリーズがファミリー層をメインターゲットにしていたのに対して、EOS Mは20~30代をターゲットに想定。カメラや写真に興味が沸き始めた層を捉えていきたいとしている。

ミラーレスカメラ市場の拡大について説明する、キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏

また、「EOS」シリーズの長い歴史を持つキヤノンにとって、豊富な種類を誇るレンズ群は1つの資産。この点について、川崎社長は「良い写真は、良いレンズから生まれる」と前置きし、「60本を超えるEFレンズを使用できるのもEOS Mの強み」と「マウントアダプター EF-EOS M」経由でEFレンズを装着できる点を紹介した。

ライバル各社が次々と市場に参入する中、静観を決め込んでいるかに見えたキヤノンだが、発表会に登壇したキヤノンマーケティングジャパン取締役専務執行役員 イメージングシステムカンパニープレジデントの佐々木統氏は、「最後発ではあるが、まだ追いつけると思っている」と述べたうえで、「(「EOS」シリーズのミラーレス機を早く出せという)声があるのは知っていたが、どうせ出すのなら良いものを出したかった」とEOS Mに懸ける意気込みを語った。

キヤノンマーケティングジャパン取締役専務執行役員 イメージングシステムカンパニープレジデントの佐々木統氏は、EOS Mでは20~30代をターゲットに据えた販売戦略を説明

さらなる上級機として一眼レフ機を位置付け、EOS Mをステップアップ用に活用してほしいとのこと

一眼カメラの初心者ユーザーが多く想定されることから、Webや実体験型を併用した写真講座「Hello,ミラーレスEOSスクール」を開設

キャッチコピーは「Hello ミラーレス EOS」

佐々木取締役からは、EOS MのCM展開についても説明があり、イメージキャラクターに俳優の妻夫木聡さんと女優の新垣結衣さんが起用されることが発表された。「Hello ミラーレス EOS」をキャッチコピーに、幅広い層に浸透を図っていきたい考えだ。

テレビCMの楽曲用に、ビートルズの名曲「Hello Goodbye」を木村カエラさんがカバー

イメージキャラクターを務める妻夫木さんと新垣さんは、発表会にもゲストで登場。

EOS Mのイメージキャラクターを務める妻夫木聡さんと新垣結衣さん

以前から写真を撮るのが好きだったというお二人だが、妻夫木さんは「これまでデジタルはあまりなじみがなく、レンズ交換などもあまりしたことがなかったが、EOS Mでハマった」とCM撮影で触れたEOS Mに魅了された様子を披露した。また、「写真は思い出を切り取るもの。だからこそカメラは大事で、EOS Mを使えば思い出を鮮明な状態で簡単に残しておける」と語った。

一方の新垣さんも「レンズ交換はほとんどしたことがなかった」とのことだが、豊富なEFレンズを装着できるEOS Mにすっかり夢中になり、「接写が好きです。気が付くと被写体に寄って撮るようになってました」と渋い一面を見せた。また、CM用に渡された機材を使ううちに「EOS Mを使っていくうちに、何気ないものでも写真に残しておきたいと思うようになった」とコメントした。

妻夫木さんと新垣さんがEOS Mで撮った自慢の一枚も披露された。新垣さんは「接写が好き」と語る彼女ならではの写真をチョイス。一方の妻夫木さんの一枚は、撮影の帰りにフェリーの航跡を撮ったもの(上の写真)。「"さようなら"とか"ありがとう""ただいま"といった気持ちを込めて日常を切り取るという行為が楽しくなった」とのこと