オンキヨーは19日、世界初のCore i7搭載スレートPCやインテルが提唱する「コンティニュア」対応スレートPCなどの新製品リリースにあたり、製品発表会を開催した。プレゼンテーションでは、同社がこれまで注力してきたスレートPC市場が想定以上の成長を遂げていることが紹介されるとともに、WindowsプラットフォームのスレートPC市場におけるトップポジションを維持したいという同社のビジョンが示された。

2012年のスレートPC市場規模見込みを250万台に上方修正

オンキヨーデジタルソリューションズ代表取締役社長 菅正雄氏

登壇してプレゼンテーションを行ったのは、オンキヨーデジタルソリューションズ代表取締役社長の菅正雄氏。同氏はまず、価格競争が激化している一般消費者向けのコモディティPC市場に対し、スレート/Ultrabook/周辺機器といった"ブルーオーシャン"に注力していく方針をあらためて表明。その中で、2010年から取り組んできたスレートPCの市場が大きく成長しており、当時予測されていた2012年に200万台という市場規模から上積みし、2012年は250万台、2015年には1,000万台という新たな予測を披露。この中にはiPadも含まれるが、Windows 8の登場によりWindowsスレートPCの比率も高まるのではないかとし、その中で「スレートに全力投球して商品開発を進めていく」と語った。

オンキヨーのPCにおけるブルーオーシャン戦略

2012年は250万台、2015年には1,000万台の出荷台数を予測。とくに法人需要が伸びているという

とくにオンキヨーでは法人需要に力を入れており、その比率が伸びているとのこと。スレートPCの導入はあらゆる業界ではじまっているといい、その事例も紹介された。とくにWindowsスレートPCがその優位性を発揮できるポイントとして、商品説明/PC代替の業務支援ツール/顧客情報管理/勤怠端末/現場ツールなどの用途を挙げた。

スレートPCのさまざまなジャンルにおける導入事例を紹介

スレートPCへの要望は……「ノートPC並みの性能」

同社によれば、スレートPCへの要望事項として大きいのが「ノートPC並みの性能」であるという。これは、従来のAtomベースのスレートPCでは、業務用のアプリケーションの実行に十分なパフォーマンスが出ないため。ノートPCで利用する際と同等となるよう、できればインテルのCore iシリーズ、せめてCeleronを搭載してほしいとの声が強いという。これに応えるのが、今回発表されたCore i7搭載のスレートPCということになる。

スレートPCの利用用途と製品への要望

なお、続く要望として挙がった価格性能比の向上や大画面化についても、「今回の商品で応えられたのではないか」としている。長時間のバッテリ駆動については、「新しいCPUやOSが出てくるはずなので改善の余地はあるものの、今回も現時点におけるベストのものを提供する」という。この点については、Ultrabookの製品化で開発される技術も応用していきたいとした。NFC/Suica対応、防水・防塵・抗菌、頑強性やペン対応といった点については、さまざまな製品をリリースする中でオプションなどの形で対応していくという。

この製品について菅氏は「日本のメーカーからは、なかなか世界初の製品というものが出てきていない。今回我々は、間隙を縫うような形ではあるが、世界初のCore i7搭載スレートPCを商品した」と語る。もうひとつの「コンティニュア対応」製品についてもインテルが標準化を提唱している規格にスレートPCでいちはやく対応したものであり、今後もスレートPCの市場において先進的なポジションを維持していきたいと前向きな姿勢を見せた。いっぽう、Ultrabookについては、「先進性に加えて価格性能比にも重点を置いていく」という。

Windows 8での動作に自信

新製品の「TW3A-A31シリーズ」は、世界初となるCore i7搭載モデルをはじめ、市場のニーズに応えるとして3モデルを同時に商品化している。この点について菅氏は、「ノートPCとまったく同じ性能をスレートで実現した」と胸を張る。そして、「Windows 8のConsumer Previewが出ているが、いかにWindows 8がサクサク動くか試してみてほしい。Windows 8でテストするときの注意事項も提供していく」と語り、スレートPC/タブレットへの対応を強化しているというWindows 8の登場を大きなビジネスチャンスを見ていることをうかがわせた。なお、この製品はWindows 8 Readyというわけではないとのこと。

「TW3A-A31シリーズ」の最大の特徴はIntel Core i7搭載ということ。3DMark06では、Atom搭載の同社従来製品に比べ、なんと約21倍のスコアをたたき出したという

会場には、実際にWindows 8がインストールされたデモ機が展示されていた

もうひとつのスレート製品「TW2A-A25Z7M」については、さまざまな健康・医療システム/サービスのデジタル化規格統一を目指す「コンティニュア・ヘルス・アライアンス」の提唱する規格への対応が最大の特徴となる。この点については、「高齢化社会に向けて自分の健康は自分で管理する時代がくる」として、今後重要になることが見込まれるヘルスケア規格にいち早く対応した意義を説明した。

「TW2A-A25Z7M」はコンティニュア対応が目玉。会場にはコンティニュア対応の血圧計も展示。コンティニュア対応のWebサービスには、NTTレゾナントが運営する「gooからだログ」などがある

Ultrabook「DR6A-US31シリーズ」については、国内系メーカーとしては2番目の提供となることを強調。また、同じ筐体に500GB HDDを搭載した「DR6A-AS31シリーズ」については、オンキヨー独自の「Slimbook」という製品カテゴリで訴求していくという。

「DR6A-US31」はインテルが提唱するUltrabook。そしてそのストレージをHDDに置き換えたものが、オンキヨー独自の製品カテゴリであるSlimbookということになる

DR6A-US31シリーズ

DR6A-AS31シリーズ

なお、発表会にはゲストスピーカーとしてインテル技術本部 本部長の土岐英秋氏も登場。Ultrabookのコンセプトを再度紹介するとともに、オンキヨーとのパートナーシップでさらなる革新性を追求することをあらためて表明した。

ゲストスピーカーとしてインテル技術本部 本部長の土岐英秋氏がUltrabookのコンセプトを再度紹介した

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