BUMP OF CHICKENのPV制作をはじめ、CDジャケットのデザイン、ストックフォト関連の書籍の執筆、カメラマンなど、多才な顔をもつクリエイター・黒田智之氏。これまで創作活動にペンタブレットを一切使用してこなかったという黒田氏が、ついにペンタブレット「Intuos4」を導入。その使用感を聞いた。

BOOK DIRECTOR/DESIGNER/CREATIVE MARKETING PLANNER。1971年生まれ。リクルート、SEPを経て2003年にPLAN DE SENSを設立。現在はフリーランス。クリエイティブグループLOCUS. AND WONDERS.主宰

――これまでは創作活動にペンタブレットを使用していなかったとのことですが、ペンタブレットに対して、どのような印象をお持ちでしたか?

黒田智之(以下、黒田)「ペンタブレットに慣れるまで、かなり時間がかかるんだろうなと思っていましたね。なので、まずはアプリケーションを決めず、とにかくマウス操作などの日常的なパソコン操作をペンタブレットで行うよう心がけました」

――最初からファンクションキーの設定を自分好みに変えていたと聞きましたが。

黒田「そうですね。ファンクションキーの初期設定が自分には合わなかったので、どうにかならないかなと思い、設定を変えてみました。で、使っていくうちに操作に慣れたら、さらに設定に手を加え、より自分が使いやすい形にしていきました」

――黒田さんの仕事の一環であるフォトレタッチでは、かなりペンタブレットが役立つと思うのですが、主にどの作業で役立ちましたか?

黒田「やはりブラシ作業ですね。特に細かいディテールが必要とされる女性モデルのレタッチを行う場合は、画像の解像度が高ければ高いほど細かい部分まで見る必要があります。そうなると、やはりマウスよりペンタブレットの方が細かいシミをひとつ取るなどの作業に適しているし、広域にわたる作業に関しても、ペンタブレットの場合はほぼ手を動かさずに操作できるので楽ですね。あと、なんと言ってもペンタブレットは作業の流れを崩しませんよね」

――"作業の流れを崩さない"とは具体的にどういった意味でしょうか。

黒田「マウスをクリックする動作に比べ、ペンタブレットの場合は本当にペンで一連の文章を書いている感覚に近いんです。それが凄く気持ちいいですね。また、ペンだと常に指先を使うので、創作活動がとぎれることがありません。昔、ボールペンを回したりしながら、考え事をしましたよね。ああいう感覚に近い感覚を味わうことができるんです。マウスを使ったパソコン操作はどうしても色々なところで思考がとぎれてしまうんですよね」

――では、これからは創作活動にペンタブレットを使っていきたいと。

黒田「なるでしょう。これは悪魔のツールですよ(笑)。さっき久々にマウスでパソコンを操作しようとしたらちょっとイライラしたくらいですから。ペンタブレットに慣れてしまうと、どんなに軽いマウスでも重く感じてしまうんですよ。また、ペンタブレットは作業スペースを取るんじゃないかと考えている人もいるかもしれませんが、それはマウスも同じなんです。僕は、よくカフェや喫茶店で仕事をするんですが、外で作業をする場合はあまり横のスペースに余裕がありません。そういった点でマウスは使いづらいんです。ペンタブレットの場合は縦にはスペースを取りますが、横には取りませんから。これなら、あまり隣の人や、周りの人を気にせず使えるんです」

――今後、どのようなアプリケーション操作でIntuos4を使っていきたいですか。

黒田「『Adobe Premiere Pro』や『Final Cut Pro』、『Adobe After Effects』、『Logic Pro』などのタイムラインを使うソフトでは凄く便利だと思います。で、こういった作業をする際、僕はペンタブレットをマウスモードに切り替えているんです」

――そのほかにはどんなときに便利だと感じましたか。

黒田「ファンクションキーなどを自分好みにカスタムし、上手に使うことによって、インターネット閲覧もかなり快適になります。あとコピーペーストですね。一番楽になりましたね。全選択もファンクションキーに設定することで、切り抜きなどがかなり簡単になります。片手で全部の操作を行えるわけですから」

撮影:石井健
撮影協力:ビッフィ カフェ(BIFFI CAFE)