本日1月10日(現地時間)、CES 2012が開幕した。恒例の開幕初日の基調講演に、IntelのCEO、Paul Otellini氏が登場し、IntelアーキテクチャをベースとしたAndroid OS対応のスマートフォン向けプラットフォーム「Medfield」(開発コード名)の市場投入を発表した。あわせて、Medfield搭載のAndroidスマートフォンの最初の端末はLenovoから今年の第2四半期に登場すること。次いで、Motorola Mobilityも今年の夏から複数の端末を投入する計画であることも明らかとなった。

基調講演でのIntelのCEO、Paul Otellini氏。「今のスマートフォンのコンピュータ性能は、1969年に、人類が月に到達した時のコンピュータの性能を上回っている」と、この分野でコンピューティング能力が向上することによるイノベーションの可能性を強調していた

Intelがついにスマートフォン向けプロセッサに参入する。さらに、特にMotorola Mobilityによる端末投入については、両者がモバイル分野において結んだパートナーシップにもとづくもので、それにより今後、Motorola Mobilityは複数のIntelベースのAndroidスマートフォン端末を、数年にわたって継続して開発・投入していく計画が決定していることも発表された。Otellini氏は、Intelの半導体シリコン技術に、Motrola Mobilityのモバイル端末技術をかけあわせることで大きな可能性を生み、スマートフォンのイノベーションを推進していくと説明している。

講演にMotorola MobilityのChairman兼CEO、Sanjay Jha氏が登場し、Intelとのパートナーシップ締結と、IAベースのスマートフォンの投入計画を電撃発表。会場に集まった記者からは歓声が上がっていた

今回Intelが投入する"Medfield"製品は、Atomプロセッサ・コアを搭載するSoCプロットフォーム「Intel Atom Z2460」だ。スマートフォンとタブレットに最適化されたSoCで、低消費電力ながら、PCレベルの処理能力を備えることが特徴となる。製造プロセスは32nm世代で、最大動作周波数1.60Ghzのシングルコア・プロセッサだが、SMT技術のIntel Hyper-Threadingにより、論理デュアルコアとして動作する。

"Medfield"ことIntel Atom Z2460のチップセット

これを搭載する世界初のスマートフォンを投入するのは、Lenovoだ。基調講演のゲストとして、LenovoのLiu Jun氏(Senior Vice President and President of Mobile Internet and Digital Home)が招かれ、ステージ上でAtom Z2460搭載の4.75型スマートフォン端末「K800」を発表した。中国市場向けの製品であり、発売時期は2012年第2四半期が予定されている。同社では引き続き、10型タブレットなど複数のラインナップを計画しているようだ。

LenovoのLiu Jun氏が、世界初のMedfield搭載Androidスマートフォン「K800」を発表

具体的なAtom Z2460搭載のAndroidスマートフォン端末ではLenovoのK800のほかにも、Intelによるリファレンスデザインの4.03型端末が披露され、同端末で実現しているというパフォーマンスの指標が公開され、一部は実際にデモが実施された。かなり良いパフォーマンス指標が並ぶので、どこまで信じてよいかはわからないが、それによると、1秒間に連続撮影15枚が可能な800万画素カメラ、1080pのHDMIサポート、HDビデオ連続再生時間が6時間、音楽連続再生時間が45時間、3Gの連続通話時間が8時間、スタンバイ時の待ち受け時間が14日間というものだ。

Medfieldスマートフォンの、Intelによるリファレンスデザイン端末

リファレンス端末のパフォーマンス指標

実機デモもいくつか紹介していた。AndroidマーケットからダウンロードしたAngry Birdsをプレイ

こちらは1080p動画再生時のバッテリライフ比較。左側が従来のAndroid端末、右側がMedfieldベースのAndroid端末

こちらはカメラの撮影速度のデモ。1秒間で10枚以上という連続撮影

現在ARMアーキテクチャが席巻しているこの市場だが、Intelが本格的な姿勢で参入してきたことで、2012年以降はその勢力図が大きく変わる可能性がある。Motorola Mobilityは、Googleが昨年、自社のAndroidのビジネス強化のために買収しており(参考記事)、Android端末メーカーの中でも非常に重要なメーカーとなっている。IntelがそのMotorola Mobilityとパートナーシップを結んだという今回の出来事のインパクトは、相当に大きなものだと言える。

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